2022年12月19日 更新

【アジャイル開発】は素早さ・柔軟性が魅力の手法|基本の流れや活用事例を解説

アジャイル開発は、システムやソフトウェア開発において主流となっている開発手法。サービスインまでの期間を短縮できることや、開発途中で仕様・要件変更があっても柔軟に対応しやすいのが強みです。本記事では、そんなアジャイル開発の概要や基本の流れ、活用事例について解説します。

アジャイル開発とは

まずは、アジャイル開発の基礎情報から見ていきましょう。アジャイル開発の意味や仕組み、よく比較されるウォーターフォール開発との違いなどをわかりやすく解説します。

アジャイル開発の概要

アジャイル開発は、現在、システムやソフトウェアの開発において主流とされている開発手法です。アジャイルとは、英語で「素早い」の意味を持つ言葉。「定義→設計→開発→テスト」という開発の基本サイクルを機能ごとに繰り返すことが特徴で、これにより開発がスピーディに行えます。

アジャイル開発は、ブラッシュアップの過程を前提としたサイクルになっています。そのため、突然の仕様変更の依頼があっても対応しやすいといったメリットもあります。

ウォーターフォール開発との違い

これまでは、ウォーターフォール開発という手法が主流でした。ウォーターフォール開発とは、「定義→設計→開発→テスト→運用」の工程を段階的に作り上げる手法。そのため、途中での仕様変更・追加対応が難しいというネックがあります。

一方、アジャイル開発は、おおよその仕様に沿って何度も基本サイクルを繰り返すので、当初とは異なる内容の依頼にも柔軟に対応できます。この点が、ウォーターフォール開発とアジャイル開発の大きな違いです。

アジャイル開発の必要性

幅広い業界でITシステム・ソフトウェアが必要とされている現代では、スピーディーかつ多様な要求に対応できる開発手法が求められています。そこで注目されたのがアジャイル開発です。

アジャイル開発は機能単位で開発を進めていくため、都度テストと実装を繰り返します。また、小さなサイクルの積み重ねで進めていくことから、途中の仕様変更にも対応可能です。

このように、業界のニーズとアジャイル開発はマッチしており、その必要性は高いと言えるでしょう。

アジャイル開発の基本の流れ

ここでは、アジャイル開発の基本的な流れについて解説します。主に次のようなステップで、開発が進められます。

開発全体の計画・チームビルディング

まずは、開発全体の計画を立てるところからスタート。全体を細かい範囲に分け、各範囲ごとのステップを計画します。また、どの部分を優先的に開発するかも、この段階で必要な検討事項です。

その他、開発プロジェクトに関わるメンバーを選定し、チームビルディングも行います。

イテレーション(短期間の開発)の実施

チームビルディングが完了した後は、計画に沿って開発を始めます。前述した通り「定義→設計→開発→テスト」のサイクルを短い期間で繰り返しながら進めていきます。

システム全体のリリース

開発がすべて終了し承認が下りれば、システム全体のリリースを済ませて完了です。その後は、依頼内容により運用や保守などを引き続き担当することもあります。

アジャイル開発の種類

アジャイル開発は、進め方や開発で重視する部分によって、主に3つの種類に分けられます。続いては、アジャイル開発の種類ごとの特徴を見ていきましょう。

スクラム

スクラムとは、アジャイル開発における主な手法です。ラグビーで選手同士が組み合う「スクラム」に由来しています。チーム間の協力・連携を重視しており、綿密にコミュニケーションを取り合うことが成功の鍵と言えます。

メンバーそれぞれに役割を振り分けて開発を進めるため、連携が取れていないと足並みが揃わず、効率良く進捗しません。それゆえ、日々のミーティングは欠かせない要素と言えるでしょう。

エクストリーム・プログラミング

エクストリーム・プログラミングは、継続的に成長していくことを重視し、以下5つの価値にもとづいて開発を行う手法です。

コミュニケーション チームからクライアントまで、コミュニケーションを密に行う。
シンプル 不要な機能の開発を防ぎ、仕様変更を柔軟に行う。
フィードバック 都度クライアントからのフィードバックを挟み、システムの精度を高める。
勇気 大胆な提案を実行する勇気を持つ。
尊重 開発にかかわる、すべての人の意見を尊重する。

ユーザー機能駆動開発

クライアント(ユーザー)の目線を最重視して進める手法が、ユーザー機能駆動開発です。クライアントの希望や、クライアント側のビジネスに必要なものが何かを考え、開発に反映させます。クライアントからの満足度が高いこと、高品質なシステムを開発できることが特徴です。

アジャイル開発の活用事例

最後に、アジャイル開発の具体的な活用事例を紹介します。アジャイル開発の汎用性の高さがわかる、さまざまな事例をピックアップしました。

自治体における申請手続きのデジタル化

自治体の窓口などでは、現在も多くの分野で紙ベースの書類申請を採用しています。そんな中、これらの手続きをデジタル化し、簡潔に申請を進めるためのシステム開発を行った事例があります。

開発の際は、自治体の担当者達と細かくコミュニケーションを取り、打ち合わせやクライアントのフィードバックなどを繰り返しつつ進行。リリースしたシステムは、実際に利用した住民に向けたアンケートで約8割の人から「満足できた」との回答を得る、満足度の高い仕上がりになりました。  

大規模スクラムによる開発の実施

こちらは、大規模スクラムを行った企業の事例です。以前からスクラムを導入していたものの、当初はサービスごとの開発に注力するあまり、サービス全体のバランスがうまく取れていませんでした。そこで課題として挙がったのが、ユーザー体験のギャップや成長の停滞です。

それらの課題を解決すべく、サービス全体を1つの大きなスクラムと考え、組織が一丸となって開発を回す方向にシフトチェンジ。1つのプロダクトを全員でつくるという大規模スクラムを導入し、ユーザー体験・優先順位の共有に成功しました。  

スクラム採用の導入

ある企業では、チームの数・階層が増え、採用を担当していた取締役が現場の詳細を把握しきれなくなっていました。それにより、適切な採用が難しい状況に陥っていたときに考えられたのが、スクラム採用です。

トップが主導していた採用活動を現場に移譲し、現場が主導して進めていくスタイルに変更。この対策により、現場が求める人材と採用される人材の間にあったギャップを埋めることに成功しました。

アジャイル開発とは現代のシステム開発に不可欠な手法

アジャイル開発には多様なメリットがあり、現代のシステム開発のニーズに合致しています。そのため、これからも重要性は高まっていくと考えられるでしょう。また、事例からもわかる通り、活用次第で幅広いプロジェクトを成功させることが可能です。ぜひ、アジャイル開発についての知識を深めてみてはいかがでしょうか。

※記載の情報は、2022年12月時点の内容です。

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