2024年3月7日 更新

インナーブランディングとは?メリットや具体的な手法、成功事例を解説

インナーブランディングとは、企業の理念やブランドの価値観を従業員に浸透させる活動のこと。インナーブランディングの実施により、従業員のモチベーションが向上し、生産性や企業価値の向上へとつながるメリットがあります。今回は、インナーブランディングが重要な理由やメリット、注意点を解説。具体的な手法と成功事例も紹介します。

インナーブランディングとは?

ブランディングは、企業や商品価値へのイメージを向上させることで、社外向けと社内向けがあります。社内向けであるインナーブランディングについて見ていきましょう。    

インナーブランディングの意味と目的

インナーブランディングとは、企業の理念や価値観、ビジョンを従業員と共有し社内に浸透させること。インターナルブランディングと呼ばれることもあります。社内向けのブランディングを通して、従業員一人一人が企業の理念やブランドの価値を理解することで、安定した企業活動が行えるようになります。

アウターブランディングとの違い

インナーブランディングが社内向けに行うのに対して、アウターブランディングは社外の消費者や顧客向けに、商品価値や他社との違いなどを伝えることを目的としています。インターナルブランディングの対照的な言葉として、エクスターナルブランディングとも呼ばれます。

インナーブランディングの類似用語

インナーブランディングと似た言葉に、インターナルマーケティングやインナーマーケティングがあります。マーケティングは、サービスや製品を売るための具体的な戦略であるため、厳密には異なります。ただし、いずれも同じような意味で使われるケースが多いようです。  

インナーブランディングが重要とされる理由

これまでは、社外の消費者に対してブランドの価値を高めるアウターブランディングが主流でした。しかし、社内で従業員による企業理念や価値観が浸透していなければ、社外へのアピールも上手くできません。

近年はブランディングを成功させるためにも、インナーブランディングが重要視される傾向にあります。一貫性のあるメッセージを発信するには、インナーブランディングとアウターブランディングが一体となっていることが重要です。

インナーブランディングを実施する4つのメリット

インナーブランディングにより、自社の企業理念やビジョンについて従業員の理解が進むだけではなく、企業に対する愛着も生まれ、生産性のアップにもつながります。主なメリットを4つ紹介します。

従業員が社外へ正しく情報発信できる

従業員が自社のビジョンや価値観をしっかりと理解していると、営業先やイベント、SNSなどを通して、社外へ正しい情報発信ができるようになります。アウターブランディングが効果的に行われ、さらなるブランドイメージのアップにつながります。

従業員のエンゲージメントが向上する

インナーブランディングにより、自社の理念や価値が従業員に浸透すれば、自社に対するエンゲージメントも高まります。企業のエンゲージメントとは、従業員が自社に対して持つ愛着心のこと。企業と従業員の信頼関係の強化にもつながります。エンゲージメントが向上すれば、モチベーションもアップするでしょう。  

従業員の定着率の向上と人材確保につながる

従業員の企業に対するエンゲージメントが高まると、定着率が向上し優秀な人材の確保が可能に。やりがいや達成感を感じられるようになり満足度が上がるため、離職率の低下にもつながります。企業の価値観やビジョンを正しく伝えられることで、企業が必要とする優秀な人材を採用しやすくなるのもメリットです。

企業の生産性が向上する

企業の理念やビジョンが従業員の間で共有されると、連帯感が生まれます。目標達成のために一丸となって取り組むようになるため、生産性向上にもつながります。ビジョンが明確に理解できることで、従業員一人一人が何を優先的に取り組むべきかを見極められるようになり、業務の効率化も期待できるでしょう。

インナーブランディングの実施で注意したいポイント

インナーブランディングを実施したからと言って、すぐに従業員の意識や行動を変えることはできません。また価値観を押し付けることもマイナスに働くため注意が必要です。注意しておきたいポイントもチェックしておきましょう。    

効果が出るまで時間がかかる

インナーブランディングを実施してもすぐに効果は現れません。従業員が企業理念や価値観に賛同して理解するには、時間を要します。浸透させるには、定期的な研修や社内報の発行などを繰り返す必要があります。中長期的な視点で進めることが大切です。

価値観の共感を求めすぎない

インナーブランディングにより共感を求めすぎると、納得できない従業員の排除につながり、離職する可能性があります。その結果、組織の多様性も失われてしまうことに。企業が掲げる価値観に共感できない従業員が出ることも想定しておきましょう。価値観にどこまで共感するかは従業員の意思に委ね、排他的な姿勢で取り組まないことが重要です。

インナーブランディングの具体的な4つの手法

インナーブランディングでは、企業と従業員が情報を共有できるような手法を取り入れることが有効です。具体的な手法を4つ紹介します。

社内報・社内ポータルサイトを活用する

社内報や社内ポータルサイトを利用すれば、社内に関する情報を幅広く発信できます。業務全体が可視化され、従業員それぞれが自身の責任を考えるようになります。その結果、企業理念やブランドメッセージを従業員に浸透させやすくなるでしょう。

社内イベントを実施する

研修旅行や表彰式など、社内イベントを実施すると、コミュニケーションが活発になり、企業が伝えたいことが従業員に伝わりやすくなります。従業員に伝えたいことをイベントのテーマに盛り込み、楽しめるように企画するのがポイント。従業員同士の関係強化にも効果的です。

クレドカードを作成する

クレドカードを作成して従業員に配布するのも1つの手法です。クレドとは、ラテン語で「信条」や「志」、「約束」を意味する言葉。カードに企業の価値観や理念を記載して配布します。仕事の方向性や判断に迷ったときに、そのカードでいつでも見返して確認することができます。

ワークショップを開催する

ワークショップの開催により、企業のビジョンやサービス、製品について意見交換をする機会を作りましょう。ワークショップに参加することで、従業員一人一人が自社のブランディングについて考えるようになります。企業側も従業員に求めるスキルや行動を伝えやすくなるでしょう。

インナーブランディングの成功事例

最後に国内でインナーブランディングに取り組み、成功している事例を紹介します。自社で導入する際の参考にしてみてください。

国内航空会社の事例:「社内向け動画」を配信

国内の大手航空会社では、従業員の教育とインナーブランディングの一環として、社内向けの動画を配信。同社では社内報の文章や画像だけでは内容が伝わりにくく、読まれているかもわからないのが課題でした。動画にすることにより多くの情報を効率的に伝えられます。経営計画やトップメッセージ、各部署が作成した動画を配信し、相互理解を深めることに成功しています。  

国内食料品製造会社の事例:「社内SNS」を活用

国内のたばこ・医薬品・加工食品の大手製造会社では、社内でも知られていない商品の認知度を上げるために、社内向けのSNSを活用しています。社内向けのプロモーションを行うことで、社員が自社製品の魅力を理解できます。

SNS内には自由に意見交換ができる機能も設置され、コミュニケーションも活発化。その他、コラムや対談、社員紹介など幅広いコンテンツを配信しています。

インナーブランディングの実施で企業価値向上につなげよう

インナーブランディングを実施することで、従業員による企業理念や価値観、ビジョンの理解が進みます。従業員のモチベーションも高まり、離職率の低下や人材確保につながるため、企業価値や生産性の向上も期待できるでしょう。インナーブランディングの手法を取り入れ、企業の発展につなげましょう。    

※記載の情報は、2024年3月時点の内容です。