2022年10月18日 更新

リスキリングとは?DX推進により注目されている理由や導入するメリットを簡単解説

リスキリングとは、今後の業務の展望を踏まえ新しいスキルを習得することや、習得させるための取り組みのこと。DX化が推進されている現代において、重要なアクションのひとつです。本記事では、リスキリングの概要や導入するメリット、導入ステップなどを解説。また、DX化を目指す上で求められる知識・スキルも紹介します。

リスキリングとは

まずは、リスキリングの概要を理解しておきましょう。言葉の意味や、注目されるようになった背景を解説します。

リスキリングの意味

リスキリングとは、技術やビジネスモデルの変化により今後業務で必要になるであろう知識・スキルを習得すること。また、習得させるための教育を行うことも意味します。特に、デジタル分野の業務に対して使用されるケースが多いようです。

リスキリングが注目されている理由

欧米では、2016年ごろから取り組まれるようになったリスキリング。日本でも近年注目を集め、経済産業省も推進しています。

リスキリングが注目されるようになった理由のひとつに、DX(デジタルトランスフォメ―ション)が重視され始めたことが挙げられます。DXは、デジタル化によって暮らしをより良いものへ変革させるという概念のこと。

また、2020年のダボス会議で「2030年までに地球人口のうち10億人をリスキリングする」と示されたことなども、注目されている理由のひとつです。

リカレント教育やOJTとの違い

リスキリングと似た意味を持つワードに、リカレント教育やOJTなどがあります。これらはリンクする部分もありますが、明確にはそれぞれ違う意味を持っています。

リカレント教育との違い

リカレント教育とは、社会に出た後も改めて学び直しを行ったり、新たな分野を学んだりなど、生涯学び続けていくこと。仕事と学びを交互に繰り返していくことが望ましい形とされており、学びはデジタル分野に限りません。

リスキリングとの違いとして、自分のタイミングで行うこと、学びのサイクルでは仕事を一旦休むパターンが多いことなどが挙げられます。

OJTとの違い

OJTとは「On-the-Job Training」の略称。実際の業務の中で知識やスキルを身に付けるものです。リスキリングとの違いは、実践を通しての学びがメインである点。また、実践の内容はデジタル分野に限らず、多様です。

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リスキリングを導入するメリット

リスキリングの導入にはさまざまなメリットがあり、企業にもそこで働く社員にも良い影響をもたらします。考えられるメリットは、主に以下のような点です。

生産性がアップする

リスキリングが上手く行われると、社員の知識・スキルがアップします。従業員個々のレベルが上がるので、業務が以前より効率的になりスピーディーに進む、質が上がるなどのプラス面が期待できるでしょう。その結果、企業の生産性アップにつながると見込まれます。

DXを浸透させることができる

現在多くの企業が、社内でのDX浸透を目指しています。しかし、取り組みを行っているすべての企業がDX推進に成功しているわけではありません。

リスキリングを行うことで、デジタル分野を得意とする人材が育つため、スムーズにDXを浸透させやすくなるでしょう。DXを社内に根付かせるための手段のひとつとして有効活用できることは、大きなメリットです。

企業文化を熟知したデジタル人材を増やせる

DXを進めるため、デジタル分野に強い人を採用するという方法もあります。しかし、新たに採用する人が会社の風土・文化にマッチし、継承していけるとは限りません。どれだけ高い専門的スキルがあっても、企業にはまる人材でなければ、企業の成長にはつながりにくいでしょう。

その点、現在会社に在籍している社員は社風や企業文化などを熟知しています。既存社員にリスキリングを行うことにより、社風や企業文化を守りながら、知識・スキルが高い人材を育てられます。

リスキリングの導入ステップ

リスキリングにおいて重要なのは、段階を順番にクリアしながら進めていくこと。ここで紹介するステップを踏み、導入を進めると効果的です。

step1. 習得すべき内容の明確化

まずは、習得すべき内容の明確化が重要。業務の内容やゴールをどこに設定するかによって、習得すべき内容は異なるでしょう。

また、対象者のスキルがどの程度のレベルなのかによっても、学習内容は変わります。例えば上級レベルを目指す際、初心者と中級者では取り組み方が異なります。

効率的にリスキリングを進めるため、習得すべき内容を明確にしておきましょう。

step2. カリキュラムの検討・実行

次に必要なのは、リスキリングのカリキュラムの検討です。勉強方法はひとつではないため、業務に合わせて考えます。

例えば、社内にリスキリング用のカリキュラムが用意されている場合は、それを活用するのもひとつの方法。また、外部のコンテンツを利用する方法もあります。Webのプログラム受講やセミナー受講、紙テキストの使用など、多様に考えられるでしょう。

step3. 習得したスキルの実践・活用

最後に、習得した知識・スキルを実践・活用できる機会を設けます。実践により、蓄えたスキルが現実的に有用なのか確かめることもできるでしょう。インプットしたスキルをアウトプットすることで、よりスキルが磨かれていきます。

DX化によって求められる知識・スキル

最後に、DX化によって求められる知識やスキルについても押さえておきましょう。今後のスキルアップに役立ててください。

ITに関する専門的な知識・スキル

DX化でまず不可欠なのは、ITに関する知識・スキル。専門性の高い分野なので、知識がないと業務内容自体の理解が困難になる可能性も。最低限、基礎的な知識は身に付ける必要があります。

もし、システム開発などより複雑な業務に携わるのであれば、プログラムやネットワークなどに関するさらに上級のスキルが求められます。自分の業務に応じて、どのレベルのスキルが求められるのか見極めましょう。

ITに関する技術は日々進化し続けており、求められるスキルも変化していきます。継続的に知識・スキルをアップデートさせることが重要です。

マネジメントスキル

DX化は、部分的にITのスキルを活用すればそれで叶うわけではありません。身につけたITスキルをツールとして使用しながら、社内全体のDX化を目指す必要があります。そのため、広い視野を持ちDX化をプロジェクトとして進められるマネジメントスキルも求められます。

分析力

DX化においては、データを活用して現状の課題を発見したり、課題に対する解決策を見つけたりする分析力も求められます。どれだけ良いデータが得られても、それを事業に活用できなければ意味がありません。分析力の有無が企業の成長のカギとなります。

リスキリングに取り組み、DX時代に強い企業・人材を目指そう

リスキリングは、企業にとって非常に有益な取り組みです。また、リスキリングの対象となる社員にとっても、時代にマッチした新しい知識・スキルを身につけられるなど、メリットが大きいと言えます。実践に強いスキルを身につけるためには、必要なステップを踏み、効果的にリスキリングを進めることが大切です。リスキリングに関する理解を深め、DX時代に強い企業・人材を目指してください。

※記載の情報は、2022年9月時点の内容です。

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