2022年5月23日 更新

成功するOJTのコツを解説!ポイントを押さえて効果的な人材育成を

OJTは実践を通し、業務に必要なスキル・知識を身につけるためのトレーニングです。多くのメリットがあることから、新入社員の教育・指導によく用いられます。本記事では、OJTのポイントや指導をスムーズに進めるための基本ステップなど、OJTを成功へ導くコツを解説。ポイントやステップを踏まえて計画・実施しましょう。

OJTとは?

OJT(On The Job Training)は、新入社員研修などによく活用される教育方法です。まずはOJTの概要やOff-JTとの違いを解説します。

OJTの概要

OJTとは、業務に必要なスキル・知識などを実践を通して教えるトレーニングのこと。指導担当となる先輩社員や上司はマニュアルと計画に沿って、未経験者である新入社員や後輩へ指導します。現在多くの企業が新人教育や社員研修などに活用しています。  

OJTとOff-JTの違い

OJTは実務中に上司や先輩社員などがスキル・知識を教えますが、Off-JTでは、外部の講師により授業形式で行われるのが一般的です。そのため、一時的に業務現場を離れて研修が行われます。Off-JTで得た知識をOJTで応用すれば、より実践的な知識の習得と定着が期待できます。

OJTを実施するメリット

OJTの実施にはさまざまな利点があり、それらは社員のスキル向上にもつながります。主なメリットを紹介します。

即戦力のある人材を育成できる

実務を通しスキル・知識を指導することで、即戦力を持った人材育成が可能です。明確な目的と計画に沿って実施することで、必要なスキル・知識が定着しやすくなります。

個人の資質や特性に合わせた訓練ができる

OJTでは基本的にマンツーマンで指導が行われることが多く、個人の資質や特性に合わせながら訓練ができます。新入社員の個性、理解度、スキルに応じた目標設定や業務内容に加え、ペースも柔軟に調整可能です。個人の資質や才能といったタレントを開発するのにも役に立ちます。

育成コストと生産性低下を抑制できる

講師や研修を外注する必要がないため、人材育成のコストが抑制できます。また、研修用の時間や場所を設定する必要がなく実務内で行えるので、生産性が下がりにくいのもメリットです。

副次的な効果が期待できる

OJTの実施は、指導のなかで先輩・後輩、上司・部下のコミュニケーションが活発になるという副次的な効果をもたらします。

また、指導者側にとっても業務内容を改めて理解する良い機会になり、指導のスキルが磨かれるなどの成長も期待できます。

OJTを成功へ導く3つのポイント

OJTの成功には、意図的・計画的・継続的に進めていくことが欠かせません。これらのポイントを押さえて実施しましょう。

1. 意図的に実施する

OJTは目的・目標を明確にした上で実施することが大切です。指導担当者と育成対象者が目的や目標を共有できるようにしておきます。例えば「終了後には、〇〇の業務が一人でできるようになる」など、具体的な目標を示しましょう。

2. 計画的に実施する

十分に練られた計画に基づいて実施することも重要です。個人の資質や強みを明確にし、目標から逆算して育成計画を立てていきます。短期間内にスキルを習得させたい場合は、実施期間や業務スケジュールを具体的にしておきましょう。

3. 継続的に実施する

反復的・継続的に実践すると、着実にスキルや実力を身につけられます。特に、習得までに何度も繰り返し行う必要がある業務は、継続を意識して進めていくことが大切です。

OJTの4つの基本ステップ(4段階職業指導法)

OJTにおいて必要な基本的ステップが「4段階職業指導法」です。この4つのステップを継続して行うことが重要です。

1. Show:やってみせる

最初に、担当者(指導者)が仕事のやり方を見せます。言葉だけで説明するのではなく、手本を見せることで業務の流れやポイント、全体像が把握しやすくなります。動画に残しておけば、繰り返し活用できてさらに効率的です。  

2. Tell:説明する

次に業務内容を具体的に説明します。その業務の目的や背景、必要性なども説明し、何をどうやって行うかをしっかりと伝えましょう。質疑応答を取り入れると、相手が業務内容をどの程度理解したかも確認できます。

3. Do:やらせてみる

学んだことを踏まえて、実際にその業務を一人でやってもらいます。教える側は横で見守りながらサポートしましょう。失敗しても責めず、モチベーションが維持できるよう安心感を与えることが大切です。

4. Check:確認・追加指導

ステップ3で実践したことに対して、「できていたこと」「できていなかったこと」を評価し、育成対象者にフィードバックします。失敗・成功の理由を具体的に説明すれば、次回同じことをするときの成功率がアップするでしょう。その際、できていたことを褒めてあげると相手もポジティブになり、仕事への意欲につながります。最後に、評価をもとに次の計画を立てましょう。

効果的なOJTの手順と手法

3つのポイントや4つのステップを踏まえた上で、OJTの手順と手法を見ていきましょう。この手順や手法に沿って行うことで、より効果的なOJTが実現できます。

1. 育成後の人物像を確認する

対象者が育成後にどのような人材になっていることが理想かを考えましょう。事前に理想の人物像を確認することで、習得すべきスキル・知識が何かを明確にできます。

2. 育成対象者の現状を把握する

育成対象者の実務経験、知識、能力によって育成内容が変わるため、対象者の現状をよく把握する必要があります。新卒社員であれば社会人としての基礎知識や基本的なスキルを中心に、ある程度経験とスキルがある中途採用社員であれば、会社が求める人物像と比較して足りない部分を補足するなど、対象者に合わせて育成内容を決めましょう。

3. 適切な指導担当者を選出する

指導担当者の選出も重要です。新人教育の場合、世代ギャップが大きすぎるとコミュニケーションが円滑に進まない可能性があります。一方、近い年代の若手社員が担当になると、経験不足により十分な指導ができない場合があります。

解決策のひとつとして、指導担当者の能力や経験を把握した上で、指導担当者のサポートをするOJTリーダーといった役割を配置すると良いでしょう。

4. 育成計画を立案する

指導担当者と育成対象者の間で以下の項目を確認しながら、目標設定や育成計画を立案します。


  • 目標レベル

  • 現状レベル(現状の課題)

  • 具体的な達成方法

  • スケジュール

新卒社員や業務未経験者の場合は、業務の流れや詳細がまだわからないため、指導担当者がリードして目標を設定します。始めは、簡単な目標を設定すると達成感や満足感が得られやすく、自己評価も容易になります。ある程度スキルや経験を持っている対象者の場合は、目標を段階的に設定し、具体的な項目まで計画を立てるとより効果的です。

5. 育成計画を実行する

先述した4つの基本ステップ(Show:やってみせる/Tell:説明する/Do:やらせてみる/Check:評価・追加指導)に沿って育成計画を実行します。育成初期の段階では、難易度の低い業務から始め、段階を経て難易度を上げていくのがポイントです。初期段階で過度なプレッシャーや困難な業務を押し付けたりするのは避けましょう。

6. 育成対象者へフィードバックを行う

現場で行う「Check:評価・追加指導」に加え、1日に1回、週に1回など定期的に育成対象者へフィードバックする時間を設定しましょう。あらかじめ共有したスケジュールや目標レベルを見ながら、「できたこと」「できなかったこと」「どうしたらできるようになるか」を確認し合います。

OJTのコツを掴んで効果的な人材育成を行おう

OJTは人材育成において有効なトレーニングのひとつです。OJTの成果を出すためには、今回紹介した3つのポイントと4つのステップを押さえ、手順を踏んで計画立案し実行することが大切です。OJTの手順と手法のコツを掴んで、有効な人材育成を行いましょう。

※記載の情報は、2022年5月時点の内容です。

関連記事