2022年12月6日 更新

メタバースとは?意味や注目されている背景をわかりやすく解説

メタバースとは、自分の分身「アバター」が行動できる仮想空間や、それを可能にするサービスのこと。VR技術やインターネット技術の発展、感染症拡大の影響などにより、メタバースへの注目や期待が高まっています。本記事では、今注目が集まるメタバースについてわかりやすく解説。メタバースのメリットとデメリット、利用例なども紹介します。

メタバースとは?わかりやすく解説

最近よく耳にする「メタバース」という言葉。具体的にどのようなものなのか、まずはその意味や語源をわかりやすく解説します。

メタバースの意味

メタバースとは、インターネットを介して構築された仮想空間や、そこでコミュニケーションを行うサービス全般を意味します。自身は現実世界にいながら、仮想空間で自分の分身であるアバターが、他のアバターとコミュニケーションをとれるのが特徴です。

メタバースの語源

超越を意味するメタ(Meta)、世界を意味するユニバース(Universe)がメタバースの語源。この言葉は、1992年にニール・スティーブンソンが発表したSF小説『スノウ・クラッシュ』の中で生み出されました。

メタバースが注目されている背景

実は過去に一度注目されたものの、一旦は下火になった経緯があるメタバース。しかし、昨今再び注目を集めています。その背景を詳しく見ていきましょう。

VR技術の普及

これまではゲームの域を抜けなかったメタバースが、近年のVR技術の普及によりさまざまな用途で使用されるようになってきました。VR技術は、既にエンターテイメントや教育、オンラインゲームといったさまざまな分野でサービスが拡大しています。

最新のVR技術とメタバースが組み合わさることで、アバター操作による視覚体験や動作、顔の表情などのクオリティが向上し、ボディランゲージなど非言語コミュニケーションが可能になり、より現実に近いコミュニケーションが可能になりました。

コロナ禍によるオンラインコミュニケーションの活発化

新型コロナウイルス感染症の対策としても、メタバースの活用が注目を浴びるようになりました。感染防止対策の一環で人との接触が制限される中、オンラインでのコミュニケーションが活発化。現実世界で集まらなくても、VR技術の向上によって仮想空間での臨場感のあふれ、あたかも今そこに存在しているかのようなコミュニケーションがとれるようになったことが人々のニーズに合致しました。

新しいビジネスへの期待の高まり

メタバースにより、新しいビジネスが実現し得るとして注目を集めています。次世代のインターネットといわれるWeb3や代替不可能なデジタルデータであるNFTの実用化により、メタバース内で安全に所有や売買が行えるようになるのではないかと期待されています。

メタバースのメリット

メタバースは、今後さまざまな分野での活用が期待されています。メタバースの活用で得られるメリットを見ていきましょう。

仮想空間で非日常体験ができる

メタバースでは、仮想空間内で非日常的な体験を得ることができます。現場へ行かなくてもアバターとしてイベントに参加したり、世界各地を移動したりと、現実の世界では味わえない体験が可能になります。

コミュニケーションツールとして役立つ

ビジネスシーンなどにおいて、コミュニケーションツールとして使えるのもメリット。テレワークが普及した一方で、コミュニケーション不足になりやすいといった問題も発生しています。メタバースのオフィスを利用すれば、社員同士のコミュニケーションがとりやすくなるでしょう。

また、離れた地域に住んでいても仮想空間へアクセスすれば気軽に交流できるのも魅力です。オフィスの賃料や光熱費、交通費なども不要になるため、コスト削減にもつながります。

自由に仮想空間を構築できる

メタバースでは、自由な発想で仮想空間を構築できます。例えば、イベントやビジネスに必要な会場などをメタバース内で用意することが可能です。さらに、目的に合った建築物や建造物の構築も自由にできます。

メタバースのデメリット

メリットの多いメタバースですが、デメリットもあります。メタバースを利用する際に注意すべきデメリットも覚えておきましょう。

仮想空間に依存しやすい

メタバースの利用は、オンラインゲームと同様に、依存しやすいといった点が指摘されています。没入感が高いことから、利用時間に注意する必要があります。特に子どもがゲームなどで利用する際は、時間制限を設けるなどサポートが必要です。

現実世界でのコミュニケーションが減る

メタバースが普及すると、現実世界での人とのコミュニケーションが減ることも懸念されています。今まで現実世界で会っていた会社の同僚や友人達とも、メタバース上でやり取りする機会が増えると考えられます。現実世界での人間関係が希薄にならないように、適切な利用時間を意識することが大切です。

VR技術をより楽しむためには専用機器が必要になる

パソコンやスマートフォン対応のメタバースプラットフォームであれば、参加することは可能です。しかし、よりメタバースの世界観を味わうためには、VRゴーグル等の専用の機器を買いそろえる必要があります。高額なVR機器や3D映像をスムーズに表示するためには高スペックな機器が必要になり、導入のハードルが高いと感じる人もいるようです。

メタバースの課題

少しずつ認知が広まっているメタバースですが、法律の整備がまだ追いついていないのが現状です。例えば、日本の民事民法では原則的に「物理的なモノ」だけに対象範囲を定めているため、メタバース上での所有権が認められていません。しかし、著作権等の知的財産法が適用される場合もある、といった具合に確固たる法規制は確立していません。
世界中から人が集まる場所ですから、現実世界同様に、悪意のある人による犯罪も起こりうる可能性もあります。そのため、ユーザーが安心して使える仕組みや法の整備が求められています。

仮にメタバース上で「デジタルデータ」が盗まれてしまっても、返還を求めたり、法律で罰したりすることは、現状困難です。そのため、ユーザーが安心して使える仕組みや法の整備が求められています。

身近にあるメタバースの利用例

メタバースは、既に会議やゲーム、イベントなどに利用されています。最後に、身近な利用例を3つ紹介します。

利用例①オンライン会議

オンライン会議でメタバースの技術が活用されています。既存のオンライン会議ができるツールとは異なり、メタバースでは自身のアバターが仮想空間に赴き、その場所で他の参加者と直接対話しているかのように会議を進められます。VR機器を装着すれば、パソコン操作も可能に。さまざまなものが共有できるので、活発な議論が可能になります。  

利用例②オンラインゲーム

オンラインゲームにも、メタバースが積極的に活用されています。自分の仮想キャラクターのアバターを立てれば、ゲーム世界を歩き回ることができます。ゲームの活動範囲が広がり、多くの人と集って遊ぶことが可能です。

利用例③バーチャルライブ・イベント

バーチャル空間でのライブやイベントでも、メタバースの活用が始まっています。メタバース内のコンサートやイベントに参加すれば、その場にいるかのような体験ができるので、圧倒的な臨場感を楽しめます。同じ空間と時間を他者と共有できるのも魅力です。    

メタバースはあらゆる体験ができる可能性を秘めた仮想世界

非日常体験や臨場感のあるコミュニケーション、新しいビジネス展開ができる空間・技術として期待されているメタバース。海外企業に続き、日本企業でもメタバース事業への参入が始まっていることから、今後メタバースへの注目はさらに高まるでしょう。あらゆる体験ができるメタバースの今後の可能性に期待したいところです。

※記載の情報は、2022年11月時点の内容です。

関連記事