2022年8月15日 更新

JiraをServerからCloudに移行する際のハマりポイント

Jiraと自動化が好きなR&Dエンジニアです。普段は事業部への技術支援やクラウドサービスの管理業務を担当しています。今回は私の担当でもある、課題管理ツール Jiraについてのマニアックな内容です。Jiraをクラウドへ移行する弊社の道のりは長く険しいものでした。。そんな移行の中で得られたナレッジを共有したいと思います。

※2021年11月30日に開催された「#49 Tokyo Atlassian Community Online MeetUp」で登壇した内容の抜粋となります。

※本記事は2021年12月時点の情報です。Jira Cloud Migration Assistantのアップデートにより結果が異なる可能性があります。

前提

移行方式はJira Cloud Migration Assistantを採用しました。
Jira Cloud Migration Assistantは移行先のデータを上書きしないので段階的な実現できます。その反面、一部対応していないデータも存在しますので事前に確認が必要です。移行されないデータは以下で確認ができます。

特に、フィルターやダッシュボード、複数のプロジェクトを横断しているボード、通知スキームなどは注意が必要です。

ハマりポイント ①

移行先環境でアカウントにJira権限が付与されない
Jira Cloud Migration Assistantでは移行するプロジェクトを選択し、ユーザーとグループの移行オプションを指定します。

画像のように選択すると、そのプロジェクトに関連するユーザーおよびグループのみを移行する設定になります。本来Jiraにアクセス権のあるユーザーは「jira-software-users」グループに所属していますが、「jira-software-users」そのものは対象のプロジェクトロールに含まれていないため、ユーザーは「jira-software-users」に参加していない状態で移行されます。
ゆえに移行先環境では「jira-software-users」に所属しておらず、Jiraにアクセスできません。

解決方法
移行前にプロジェクトのロールに「jira-software-users」を含める必要があります。もしくはすべてのユーザー、グループを移行する「All users and groups from the jira dorectory」を選択しましょう。

ハマりポイント ➁

一部課題タイプが移行先でマッピングされず、新規で作成されてしまう
移行元Serverの規定言語が日本語だったため、Epicが「エピック」で作成されており、マッピングができませんでした(Epicの場合はエピックリンクなども外れてしまう)。Softwareタイプのストーリーやバグでも発生するので注意してください。

解決方法

Server側の課題タイプ名を英語表記に変更
JQL等に影響があったのでユーザーへの周知

ハマりポイント ③

移行先環境で特定のリソースに(migrated)が付与されて重複してしまう

Migration Assistantは移行済みのエンティティ情報を保持しています。
そのため以下のようなデータは重複する可能性があります。

・ 元のサイトと移行先サイトの両方に存在するデフォルト エンティティ
・ 移行間でリセットされた移行テーブル
・ 移行間で削除された一部のデータ

※Jira Cloud Migration Assistant がデータをリンクする仕組み

解決策

検証環境と本番移行先は分けてテストするか、検証終了後にCloudのリセットを実施する。
重複してしまったリソースは移行完了後に手動でマージする。

ハマりポイント ④

段階的移行の場合、ServerとCloudの並行期間が発生するため、移行済みのプロジェクトは更新を止めたい。
移行元でプロジェクトへの参照権限のみに絞った権限スキームを作成し、移行済みのプロジェクトに適用するようにします。

まとめ

これから移行を実施する方、移行を検討している方の参考になれば幸いです。

関連リンク

Cloud移行ガイド
クラウドへの移行方法の比較
日本語環境で Jira Cloud Migration Assistant を利用する前のチェックリスト

※掲載内容は個人の見解です。
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