2024年1月9日 更新

エフィカシーとは?組織に与えるメリットと高める効果的な方法

エフィカシーとは、自己効力感を意味する言葉です。高いエフィカシーを持つ人は、困難な課題にも積極的に取り組み、周囲のモチベーションを高めるなど、士気の高い職場作りには欠かせない人材といえます。エフィカシーの意味や高い人の特徴、組織に与えるメリット・デメリット、高める方法を詳しく解説します。

エフィカシーとは?

腕を組んで外を見つめる男性

「自分ならできる」と強い自信を持った状態をエフィカシーと言います。まずはエフィカシーの詳しい意味と要因、混同しやすい自己肯定感との違いを解説します。

エフィカシーの意味

エフィカシー(Efficacy)とは、日本語では「自己効力感」と訳される言葉です。ある物事に直面したときに「自分ならやり遂げることができる」という自信を持った心理状態を指します。スポーツ界ではメンタルトレーニングの一環として応用されていて、ビジネスにおいても注目され始めています。

エフィカシーの概念

エフィカシーはカナダの心理学者、アルバート・バンデューラが「社会的学習理論」の中で提唱した概念です。人の行動遂行のための先行要因には、下記の2種類あると指摘しています。

結果予期 ある行動がもたらす結果を推測すること
効力予期 期待の結果を生み出すための適切な行動ができると確信すること

このうち、エフィカシーは効力予期を持っている状態にあたります。

自己肯定感との違い

エフィカシーと似た用語としてあげられるのがエスティーム(自己肯定感)です。どちらも自分を肯定する意味合いを持ちますが、エフィカシーはある状況下で自分はできると信じること、自己肯定感はどんな自分でも受け入れることを指します。エフィカシーが自分の能力に対する評価であるのに対し、自己肯定感は自分そのものに対する評価であるのが違いです。

エフィカシーの3つのタイプ

オフィスで握手する男性

エフィカシーは3つのタイプに分けられます。タイプごとの特徴を見ていきましょう。

タイプ①自己統制的自己効力感

エフィカシーの最もスタンダードなタイプで、自分ならできると考える心理状態を自己統制的自己効力感と呼びます。たとえ上手くいかなかったとしても、もう一度やってみようと思えるところが特徴です。トライ&エラーを繰り返しながらポジティブに行動できるので、大きな挑戦をする際に力を発揮します。

タイプ②社会的自己効力感

社会的自己効力感は対人関係におけるエフィカシーで、この人とはきっと仲良くなれると前向きにコミュニケーションがとれる状態を指します。幼少期に育まれ、大人になっても持続するという特徴があります。良好な人間関係を構築することに長けているタイプなので、組織内の人間関係を円滑化する助けとなるでしょう。

タイプ③学業的自己効力感

学業的自己効力感は学業に関連するエフィカシーで、学べばどんなことでも理解できるはずと考える心理状態を指します。学業で成果を残すほど気持ちが強まり、学ぶことへの満足度が高いのが特徴です。ビジネスにおいては資格やスキルの習得、タスクやスケジュールの管理などインプットが求められる場面で役立ちます。

エフィカシーが高い人に多く見られる特徴

カレンダーを見て計画を立てる人

エフィカシーが高い人は、ポジティブ思考であるのが基本です。ビジネスに役立つ特徴としては、以下のようなものがあります。


  • 高い目標を持ち努力していける

  • 当事者意識が強く責任感がある

  • 困難な状況にも力強く立ち向かっていける

  • 多くの人から信頼を得ている

  • ストレス耐性が高く前向きである


エフィカシーが高い人が組織に与える好影響【メリット】

オフィスでハイタッチする男女

エフィカシーの高い人が組織にいると、組織全体の業績や生産性の向上、周囲のモチベーションアップに貢献します。エフィカシーが組織にもたらすメリットを紹介します。

業績アップにつながる

エフィカシーが高い人は、困難な課題に対しても積極的に挑戦し、最後までやり切る力を持っています。結果的に、日々の業務においても高い業績をあげやすいタイプです。そのためエフィカシーが高い人が組織に増えるほど、企業全体の業績も向上するといわれています。

周囲のモチベーションが向上する

ポジティブに仕事に取り組み、困難に立ち向かっていく姿勢は、周囲の人にも勇気を与えます。エフィカシーが高い人に影響を受け、自分もやってみたい、もっと頑張りたいと考えるメンバーが増えると、組織全体も明るい雰囲気に。みんなが前向きな気持ちを持つことで職場の人間関係が良好になるので、定着率アップも見込めます。

チームの生産性が高まる

エフィカシーが高い人は、当事者意識を持って主体的に課題に取り組んでいけます。それぞれが他人任せにせず、まずは自分でやってみようと行動していくことで、自身の能力を存分に発揮でき、チーム全体の生産性の向上が期待できます。

エフィカシーが高い人に対する注意点【デメリット】

険しい表情で電話する男性

メリットの多いエフィカシーですが、いきすぎると組織にとって良くない影響を与えるおそれもあるので注意が必要です。デメリットを押さえて対処できるようにしておきましょう。

周囲と温度差が生じて孤立しやすい

職場の空気感が良くない場合、どうしてあんなに頑張っているんだろうと周囲のメンバーと温度差が生じてギクシャクしやすい傾向があります。そのような状態ではかえって意欲が低下したり、最終的には離職に追い込まれたりするおそれも。組織としてはエフィカシーが高い人を十分に評価すること、面談などを通して密にフォローアップしていくことが大事です。

自分の能力を過信しやすい

自分の能力を過信してしまうと、周囲の人を見下したり、到底達成できない目標にやみくもに突き進んだりしてしまうおそれがあります。組織は能力を肯定するばかりではなく適切な評価やフィードバックを行い、自身を見つめ直す機会を与えることも必要です。目標設定の際には上司と従業員とで話し合いを行い、挑戦的ではあるが頑張れば達成できる目標に導いてあげましょう。

従業員のエフィカシーを高めるのに効果的な4つの方法

オフィスで笑顔で握手をする男性

自信につながる適切なサポートを行なっていくことで、エフィカシーの高い人材を育てることができるでしょう。エフィカシーを高める方法を紹介します。

①成功体験を積み重ねる

エフィカシーを高める基本は、成功体験を積んで自信を芽生えさせること。従業員の能力を踏まえ、小さな目標を1つずつクリアしていき、大きな目標にステップアップできる環境を整えましょう。本人も成長を実感できるので、モチベーションを維持しやすくなります。

②目標達成に向けてサポートする

定期的にフィードバックを行い、目標達成までのサポートを行うことも大切です。たとえ上手くいかなくても、良かった点をあげたりアドバイスを与えたりして、次こそはと思えるような前向きな言葉を投げかけるようにしてください。悩みや不安があるようであれば、達成につながる細かい目標に細分化する、必要に応じて目標を再設定するなど、成功体験を積めるように調整を行いましょう。

③新しい知識を得やすい環境作りをする

新しい知識を身につけると自分の成長を実感しやすいものです。定期的に研修などを行なって、従業員が常に新しい知識や情報に触れられるような環境を作るのが簡単な方法です。業務に有利な資格を紹介するなど自己研鑽を促すのもおすすめ。インプットばかりではなく、入手した知識を他の従業員に伝えるなどアウトプットできる機会を与えるとより効果的です。

④お手本となる人材と接する機会を増やす

エフィカシーが高い人と接することで、具体的な気づきを得たり、間接的な成功体験を積んだりすることができ、自身のエフィカシーも高まりやすいといわれています。特に似た業務をしている先輩など、なるべく立場や年齢が近い人と引き合わせると、自分でも実践できるかも、同じようにやってみようといったように行動に結びつきやすくなります。

エフィカシーを低下させてしまう注意したい行動

オフィスで言い合いをする男性

ネガティブなフィードバックはかえってエフィカシーを低下させることになります。特に他の従業員がいる場など、大勢の前で行うと自尊心が大きく傷つき、エフィカシーの著しい低下を招きます。どうしても伝えなければならないことがあるなら、1on1など他者がいない場所で、ポジティブなフィードバックと合わせて行うのがポイントです。

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エフィカシーの高い人材を増やして組織力を強化しよう

オフィスで笑顔で話し合う男女

自分の能力に自信を持って積極的に課題に取り組めるエフィカシーの高い人材は、組織全体に良い影響を与えます。組織側は従業員各自の能力を見極め、適切なフォローアップ体制を整えることが大切です。エフィカシーが高い人材を育て、組織力強化に努めましょう。

※記載の情報は、2024年1月時点の内容です。