2022年6月27日 更新

EQはリーダーに欠かせないスキル|EQが高い人の特徴や高める方法を解説

EQとは、自分や他者の感情を把握し、状況に合わせて自分の感情をコントロール・活用するスキル。EQが高いとビジネスの場においても、円滑に人間関係を築くことができます。また、他者との良好な関係性や、成果を出すチームづくりが求められる現代のリーダーにとって欠かせない能力です。本記事では、EQの概要や高い人の特徴、高める方法を解説します。

EQとは?

まずはEQの概要やIQとの違いなど、EQを理解する上で必要な基本を解説します。

EQは心の知能指数

EQは「Emotional Intelligence Quotient」の略称。日本語では「心の知能指数」と表現されます。自分や他者の感情を理解し、自分の感情を上手くコントロールする能力のことです。EQが高いと、周囲と円滑なコミュニケーションが図れます。  

IQとの違い

EQと似ている言葉にIQがあります。IQは「知能指数」のことで、例えば「IQ100」のように知能の高低を数字で表します。一方、EQは感情をコントロールするテクニックであるため、数値で明確化されていません。

また、IQは訓練などによって数値がアップすることはほとんどなく、生まれたときから生涯ほぼ変わらないと言われていますが、EQは先天的な要素が少ないため、訓練によって高めることが可能です。    

EQを構成する4つの能力

EQは4つの能力から成っています。これらの能力は相互に深く関連しており、それぞれを活発に機能させることでEQのスキルとして発揮されます。どのような能力があるのか、詳しく見ていきましょう。

1. 感情の識別「Identify」

感情の識別とは、自分や他者がどのような感情を抱いているか察して正しく認識すること。EQのベースとなる部分なので、この能力は非常に重要です。自分や相手の感情を正しく識別できなければ、その感情への対応がちぐはぐになってしまいます。

2. 感情の利用「Use」

何らかの問題の解決のため、その場面に適した感情を作る能力です。例えば、厳しい状況に置かれたときに敢えて穏やかな感情を持ち、その状況を乗り切るといった対応は、感情の利用に当たります。

3. 感情の理解「Understand」

感情の理解とは、その感情の背景にあるものを考え理解する能力です。その感情が発生した背景には必ず原因があります。例えば、悲しい気持ちになったときには悲しい感情を持つに至る原因があるため、その背景や原因を知ることで対処法を考えやすくなります。

4. 感情の調整「Manage」

感情の識別・利用・理解の能力を活用し、実際に行動を起こすことが調整の能力です。行動により状況が変化した場合は、感情を調整し望ましい方向へ軌道修正する能力も含まれます。

EQが高い人の特徴

EQが高い人には特定の傾向が見られ、それがEQスキルにも影響しています。EQが高い人の特徴を見ていきましょう。

相手の話を聞くのが上手い

他者の話をしっかりと聞こうとする姿勢は、EQが高い人によく見られる特徴です。他者の感情を理解するためにはコミュニケーションが欠かせません。EQが高い人は、相手の話をきちんと聞き、さまざまな話を引き出せる聞き上手と言えます。また、話を聞く過程で相手を否定せず受け止めるため、周囲も話しやすい人だと感じるでしょう。

視野が広く気配りができる

EQを駆使するためには、広く周りを見渡し、複数の人の感情やその場の状況などを理解する必要があります。そのため、EQが高い人は視野が広く、周りへの配慮ができる気配り上手という特徴を持っています。相手の感情を理解し、相手の立場になって物事を考えられるため、その場面で望まれている行動がとれます。

素直に行動できる

EQが高い人は、自分や相手の感情を理解し自分の感情をコントロールするために、感情やその周りにある事実・状況をそのまま素直に受け止めます。柔軟性も高く、自分とは違う考えや状況の変化も寛容に受け入れます。

また、自分の主観のみで判断せず事実を客観的に捉え、それに従って行動するスキルを持っているので、自分が間違っていたときにも言い訳をせず素直に否を認め、適切な対応ができるでしょう。

粘り強さがある

粘り強くストレスに強いのもEQが高い人の特徴です。自分の感情を上手くコントロールできるので、物事を挫折せずに達成できます。また、感情を適切にコントロールできると、ストレスも溜まりにくくなります。

EQを高めるトレーニング方法

先述したように、EQはトレーニングによって高めることが可能です。EQを高めるポピュラーなトレーニング方法を紹介します。

傾聴力を鍛える

傾聴力とは相手の立場を理解し、相手に共感しながら話を聞くスキル。相手の思考や感情がより深く理解できるため、EQを高めるトレーニングとして有効です。傾聴力も特殊なスキルではなく、誰でも高めることができます。以下のような傾聴のポイントを日々意識しましょう。

傾聴のポイント

  • 相手の話を遮らない。

  • 否定しない。

  • 話を片手間で聞かない。

  • 適切なリアクションをする。

自分の感情を認識する

EQを高めるには他者だけではなく、自分の感情をしっかり認識することも不可欠です。簡単にできるトレーニング方法として、日記をつけることが挙げられます。「この場面でこのような気持ちになった」と文字で書き出すことにより、自分の感情を整理・分析できます。

他者の長所に目を向ける

相手の素直な感情を引き出すためには、その相手と信頼関係を築かなければなりません。相手の長所を見つけることは、相手を尊重し、良い関係を築くための方法のひとつ。ポジティブな部分を見つけることで、お互いに前向きな気持ちでコミュニケーションが図れます。

「協調性」について詳しく知りたい方は以下の記事をごらんください

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EQの高さはリーダーに欠かせないスキル

EQは現代、そして次世代のリーダーに欠かせないスキルと言われています。その具体的な理由やEQの高いリーダーを目指すためのアクションプランを紹介します。

リーダーにEQスキルの高さが必要な理由

リーダーには、逆境でも冷静に対応するスキルが必要です。何か問題が発生したり、思うように事業が進まなかったりなど、逆境に立たされると焦りや落ち込みなど感情に振り回され、適切ではない行動をとってしまう人もいます。

しかし、リーダーはチームを引っ張っていく存在として、逆境においても冷静に対応する必要があります。EQが高ければ、苦しい状況にあっても感情にとらわれることなく、正しい判断を行い冷静に対処できるでしょう。

また、チームメンバーの考えを理解した上で、メンバー全員が働きやすい環境をつくるのもリーダーの大事な役割。ただ目標を達成し利益を上げれば良いというわけではありません。

EQスキルが高いリーダーは、自分だけではなく、他者の感情にも配慮します。これにより、コミュニケーションにおけるチームメンバーのストレスが少なくなり、働きやすい環境が生まれます。

EQの高いリーダーになるためのアクションプラン

リーダーシップを取りながらEQを活用することで、チームメンバーのEQの成長を促し、業務やチームにプラスの影響を与えられます。アクションプランは以下の4ステップです。


  1. 自分のEQの現状を認識する。

  2. →EQ診断ツールなどを活用する。

  3. EQの現状を踏まえ、自分の行動や感情の動きのパターンを分析する。

  4. →行動の中で課題に気づいた場合は、そのときの自分の感情に目を向ける。
    そして再びその感情が起こったときの行動に気を付けることで、課題が改善へと向かう。

  5. リーダーとしてチームのために行動することを決める。

  6. →例えば「メンバーと話すときはしっかり向き合う」「積極的に褒める」など。
    自分の行動がチームメンバーの行動にも影響を与えることを意識する。

  7. 振り返りを行う。

各ステップでメンバーの疑問や感情に寄り添うことも忘れないようにしましょう。

「チームビルディング」について詳しく知りたい方は以下の記事をごらんください

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EQを高めて優秀なリーダーになろう

状況に応じて自分と周囲の感情をコントロールする力であるEQは、どのような場面においても冷静に対処し、チームメンバーとともに目標に向かって進むリーダーにとって不可欠なスキルです。今回紹介したトレーニング方法を実践し、EQの高いリーダーを目指してください。

※記載の情報は、2022年6月時点の内容です。

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