2022年11月7日 更新

プロジェクトを支える【PMO】とは?必要性や主な職種、求められるスキルを解説

PMOはプロジェクトをサポートし、成功へと導くキーマンとして注目を集める存在です。PMと連携しながら、多様な役割を担います。本記事では、PMOの役割についてわかりやすく解説。PMとの違いやPMOの必要性、主な職種、求められるスキル・資格などを詳しく見ていきましょう。

PMOとは

まずは、PMOの概要を解説します。また、類似する言葉としてよく登場するPMとの違いも見ていきましょう。

PMOの概要

PMOとは「Project Management Office(プロジェクトマネジメントオフィス)」の略称で、プロジェクトがスムーズに進むようサポートする役割を担います。

PMOには「社内PMO」と「社外PMO」があります。社内PMOは自社から導入されるため、基本的に常設。チームの成長に合わせて長期的にサポートする場合がほとんどです。

対して社外PMOは、コンサルティングなどを利用した外部サポートです。そのため、プロジェクトを継続的にサポートすることは基本的にありませんが、専門性が高い人材を導入できる、客観的な視点を得られるといったメリットがあります。

PMとの違い

PMOとよく混同されがちなのが、PMこと「Project Manager(プロジェクトマネージャー)」。プロジェクトに携わるという点はどちらも同じですが、担う役割が異なります。PMはプロジェクトの責任者として、プロジェクトメンバーに指示を出したり、業務を割り振ったり、必要な意思決定をしたりする存在です。

対してPMOは、PMの補佐役としてプロジェクトのスケジュール管理や事務処理、プロジェクトチームの環境整備などを行います。ただし、PMOはPMの直下に配置される場合や、プロジェクトオーナーの直下に配置される場合など、どこに属して業務にあたるかはケースバイケースです。

PMOの必要性

一般的にプロジェクトは、規模が大きくなるほどチームの数やメンバー数も増えるものです。人員が増えれば、そこから生み出される商品・サービスの質を一定に保つのが難しくなることも。各チームのスケジュールを管理し、納期に間に合わせるための高度なマネジメントが必要になってきます。

そのような課題を一気に解決できる存在がPMOです。PMOがプロジェクトのサポートを専門的に行うことで、PMやプロジェクトメンバーは業務により集中できます。PMOは、規模の大きいプロジェクトの成功のカギとなるでしょう。

PMOを導入するメリットと注意点

PMOを導入することによって得られるメリットは複数あります。具体的なメリットや、導入時に注意したい点を見ていきましょう。

メリット①PMの負担軽減になる

プロジェクトのサポート役であるPMOを導入すれば、PMの負担軽減が見込めます。PMOがいない場合、プロジェクトの進捗管理やプロジェクトメンバーのケアなどは、統括的な立場であるPMの仕事になります。プロジェクトの中身だけではなく、チーム全体を管理・調整するとなると大きな負担になるでしょう。

メリット②PMの意思決定の精度・速度が向上する

PMOがチームのより細かいケアを担当すれば、PMはプロジェクトの統括や課題に集中できます。そのため、PMの意思決定がスピーディーに高精度で行われやすくなるでしょう。また、PMがプロジェクトに集中できる環境が整うことで、プロジェクトの質を保ちやすくなります。

メリット③意見調整をしやすい

社外のPMOがプロジェクトに関われば、プロジェクトメンバーはお互いの役職・立場などによるしがらみに囚われることがなくなるため、発言しやすくなります。会社の外の人間がほど良い潤滑油となって、意見を言いやすい雰囲気が生まれるでしょう。

PMOを導入する際の注意点

PMOの導入によって、他のPMOやPMと意見の対立などが生まれる場合もあります。このような軋轢はプロジェクトの進捗にネガティブな影響を与える可能性も。PMOは主導権を握り過ぎないよう意識し、あくまでPMの補佐としてサポートに徹することが大切です。

PMOの主な職種

PMOの職種や形態はさまざまです。1人がいくつもの役割を担うこともあれば、それぞれの職種が連携してプロジェクトのマネジメントにあたるケースもあります。ここでは、PMOの主な職種を紹介します。

PMOアドミニストレータ

PMOアドミニストレータは、主にチームの事務処理を担う職種です。スケジュール管理や労務管理、経費の処理、各種書類作成などを行います。また、プロジェクトに必要なデータの収集・管理、情報の共有、チームごとの進捗状況の把握、ミーティングのコーディネートなどもアドミニストレータの業務です。

PMOエキスパート

PMOエキスパートは、アドミニストレータが集めたデータなどをもとに、プロジェクトに必要なルールの策定やマネジメントの標準化を行う職種です。プロジェクトプロセス・情報収集手法・使用ツールといった事柄を分析するのも業務のひとつ。また、プロジェクトマネジメントに関する社内教育も担当します。

PMOマネージャー

PMO全体をまとめるのがPMOマネージャーです。全PMOと連携を図りながら、PMの補佐役としても働きます。PMOの組織戦略や労務管理、予算管理といったマネジメントを行う他、クライアントとPMの仲介役になる場合もあります。

PMOに求められるスキル・資格

最後に、PMOに必要とされる主なスキルや活用できる資格を紹介します。PMOは資格がなければ就けない仕事ではありません。しかし、プロジェクトマネジメントに関連する資格の勉強は、自身のスキルアップにも役立つでしょう。

PMOに求められるスキル

まず必要なのが文書作成スキルです。PMOは施策作成や報告書作成など、文章を作成する機会が頻繁にあるため、誰が読んでもわかりやすい文章を作成するスキルは必須と言えます。

コミュニケーションスキルも欠かせません。PMOはプロジェクトの潤滑油として、PMだけではなくプロジェクトメンバー、クライアントなど、さまざまな人とやり取りをする機会があります。円滑にコミュニケーションを図れるスキル、相手が伝えたいことを的確に汲み取るスキルなどが求められるでしょう。

また、トラブル対応力も重要。スケジュールの遅れやバグ発生など、トラブルが発生しても焦ったり感情的になったりせず、冷静に対応できる能力を備えておきたいものです。プロジェクトをさまざまな観点からケアし、支える役割であるため、総合的な人間力が求められる仕事と言えます。

PMOで活用できる資格

PMOにおすすめの資格は以下の4つです。今の自分にとって有用になりそうな資格があれば、ぜひ挑戦してみてください。


  1. PMOスペシャリスト認定資格

  2. PMOの実践的なスキルを証明するもの。難易度は3段階(うち1段階は策定中)で、PMO経験者であれば合格を狙えるレベルと言われている。


  3. プロジェクトマネージャ試験(IPA)

  4. プロジェクトを成功させるために必要なスキルを証明できる、PMO・PM業務において有用な資格。プロジェクトに関する幅広いスキルを問われるため難易度は高い。


  5. プロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格(PJM-A)

  6. PMOの基礎的知識があることを示せる資格。PMOを目指す人で、初めて資格取得に挑戦する場合にもおすすめ。


  7. PMP

  8. PMI(アメリカのプロジェクトマネジメント協会)が主催する国際資格。必要な実務経験が規定されている、経験者向けの資格。

PMOの役割を理解しキャリアプランを検討してみよう

PMOはプロジェクトに関わるさまざまな人をつなぎ、課題解決が円滑に進むようケア・サポートする重要な存在。プロジェクトが成功したときには、大きなやりがいを感じられるでしょう。PMOに興味がある人は、ぜひキャリアプランのひとつとして検討してみてください。

※記載の情報は、2022年10月時点の内容です。

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