2023年6月9日 更新

データマネジメントとは|注目されている背景とメリット・デメリットを解説

データマネジメントとは、データを適切に管理すること。業務のデジタル化が進むにつれ、企業は膨大なデータを保有するようになりました。そこで注目されているのが、データマネジメントです。データマネジメントが注目される背景、メリット・デメリットとともに、実際に企業がデータマネジメントを取り入れる方法についても紹介します。

データマネジメントとは

データマネジメントとは、企業が保有するデータを適切に管理・活用することです。DAMA International(国際データマネジメント協会)によると、データマネジメントは【データとインフォメーションという資産の価値を提供し、管理し、守り、高めるために、それらのライフサイクルを通して計画、方針、スケジュール、手順などを開発、実施、監督することである。】と定義されています。

つまりデータマネジメントには、データの登録や更新だけではなく、膨大なデータを蓄積するためのシステムの構築やセキュリティ管理、品質の管理やそれにかかわる取り組みなども含まれます。そして、データマネジメントを実施することで、適切な場面で適切なデータを適切なタイミングで活用し、新たなビジネスにつなげることを目的としています。

データマネジメントが注目されている背景とは?

社会がデジタル技術によって変化しつつある近年、データマネジメントが注目を集めています。ここでは、データマネジメントが着目されている理由に迫ります。

社会のデジタル化によるデータの種類と量の増加

データマネジメントが注目される背景の1つには、デジタル化によるデータの種類と量が増加していることが挙げられます。データは日々あらゆるところで生まれ、さまざまな場所で蓄積されています。ただし、ほとんどは分散されて管理されている状態でした。これではデータ管理に多くの工数がかかってしまいます。そこで、データを一元管理するためにデータマネジメントの必要性が生まれました。

データのなかで最も多いのは、構造定義を持たない非構造化データです。そのままでは分析、解析ができないため、活用するためには適切に加工して管理する必要があります。非構造化データをデータ資産として利用するために、データマネジメントは欠かせないものと言えるでしょう。

データセキュリティ強化の必要性

企業が扱うデータ量が増え、セキュリティの強化が求められるようになったことも、データマネジメントが必要な理由の1つです。業務上知り得た顧客データは、適切なデータマネジメントにより保護されなければなりません。万が一情報流出してしまうと、企業の信頼を失ったり、損害賠償責任が生まれたりというリスクが生じます。そこで、保有するデータを企業がどのように管理・活用しているのかを明確化する、データマネジメントが必要なのです。

データを活用した経営を行う企業の増加

近年、データを活用した経営が注目されてきており、それを取り入れる企業も増加しています。企業が保有するデータは、資産です。顧客情報や競合企業の情報など、企業が持つデータを分析し活用してビジネスに活かすことは、顧客満足度の向上や売上アップにつながります。データを活用した経営のためには、データマネジメントによるデータの整理や管理が重要です。

データマネジメントのメリット・デメリット

データマネジメントを自社に取り入れるかどうか検討するなら、データマネジメントのメリット・デメリットをしっかり理解する必要があるでしょう。メリット・デメリットを理解し、本当に必要かどうかを見極めてください。

メリット①業務を効率化できる

データマネジメントで、さまざまな業務の効率化が可能になります。データの統合やデータ同士の関連付けなどを行いながら社内データが整理され正しい状態で管理されることで、業務で必要な情報を探す手間なく見つけられ、業務効率の改善が期待できます。

メリット②データのセキュリティが強化できる

企業が保有するデータがきちんと整理され正しく管理されていれば、データの流出などセキュリティリスクを減らせます。データには個人を特定できる情報も多く、これらを保護することは重要事項の1つ。データマネジメントでは、データ取り扱いのルールやセキュリティポリシーの策定、アクセス権限の設定などを行います。データを細かく監視・管理することにより、セキュリティを強化してデータの流出を防ぐことが可能になります。

メリット③新しいビジネスチャンスを創出できる

データマネジメントによって、データを整理、分析すれば、顧客理解が深まりニーズを可視化できます。これは、新しいビジネスチャンスが生まれるきっかけにも。データマネジメントをうまく使って、より確度の高い施策を打ち出したり、迅速な意思決定によって競合他社よりも優位に立てたりするかもしれません。

デメリット①目的が明確でないと運用が難しい

データマネジメントはあくまで企業を発展・成長させる手段でしかないため、目的を明確にしておかなければ運用が難しいでしょう。上層部や全社的に賛同を得るには、目標値や得られるメリットをしっかり提示することが大切です。

デメリット②全社に浸透するのに時間がかかる

データマネジメントは、社内全体取り組むことで最大効果を発揮できますが、最初は必要性を理解してもらうことが難しいようです。社内全体でデータマネジメントに向けて連携することは、時間がかかるかもしれません。いきなり全社で取り組まず、少ない人数の部署や小さなチームからデータマネジメントを始めると良いでしょう。

データマネジメントを取り入れる方法と進め方

データマネジメントのメリット・デメリットを把握した上で取り入れたいなら、データマネジメントの11の基礎と、具体的な取り入れ方とステップを知っておきましょう。

データマネジメントを構成する11の基礎概念を理解する

国際データマネジメント協会は、データマネジメントに必要な基礎概念を11の領域に分けて定義しています。11の領域は以下の通りです。

知識領域 詳細
データガバナンス データに関する意思決定の方法やデータ統制のための活動
データアーキテクチャ データマネジメントの目的を明確化した戦略の策定・計画
データモデリング 各データの関連性を明確にしたデータマネジメントプロセスの可視化
データストレージ・オペレーション データ設計やデータシステムの実装基盤の構築
データセキュリティ セキュリティポリシーの制定やアクセス制御などによるデータ管理
データ統合と相互運用性 データの移動と統合に関するプロセス
ドキュメント・コンテンツ管理 ドキュメントや画像などのコンテンツ管理
参照データとマスターデータ マスターデータの一元管理
データウェアハウジングとビジネスインテリジェンス データを企業の意思決定に活用する、または課題解決や目的達成のために適切に組み替える
メタデータ管理 品質・一貫性・最新性・セキュリティを確保しながらデータを管理する
データ品質管理 データ品質の基準を定める

それぞれの領域の中で自社の弱い部分を強化することは、効率良くデータ資産を活用できることにつながります。

データマネジメントの4STEPを実践する

データマネジメントを進めるには、以下の4つのステップを意識してみましょう。

<データマネジメントの4ステップ>
①目的の明確化
データマネジメント導入の目的と方向性を明確化する
②策定・計画
現状を把握した上で戦略策定・計画を立てる、ルールの設定も行う
③システム構築・実装
策定した方法に従いシステム構築や実装を行う
④運用
環境が整ったら運用を始めて、各データの管理や監視を行う

最適なデータマネジメントのために定期的な改善とアップデートを継続的に行うことが、成功のコツです。

データマネジメントでビジネスチャンスを広げよう

高度情報化社会を生き抜く上で欠かせない、データマネジメント。メリットは多いですが、効果的に運用するにはデータマネジメントの基礎的な概念や手法を知っておく必要があります。データマネジメントを正しく導入すれば、大切なデータを適切な場面で使えるようになり、新しいビジネスの創出につなげられるかもしれません。データ資産をうまく活用できていないと感じるなら、データマネジメントの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

※記載の情報は、2023年6月時点の内容です。

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