2023年8月18日 更新

XaaSとは?サービスの種類と導入のメリット・デメリットを詳しく解説

XaaS(ザース)とは、インターネットを介し提供されるクラウドサービスの総称です。業務の円滑化やコストダウンが見込めるとして、近年では分野を超えた広がりを見せ、さまざまなサービスが提供されています。この記事では、XaaSの意味や代表的なサービスの種類、メリット・デメリットを詳しく解説していきます。

近年広がりをみせるXaaSとは

クラウド上で利用できるさまざまなサービスをまとめてXaaSと呼んでいます。まずはXaaSの意味や注目される理由を紹介します。

XaaSの意味

XaaS(ザース)とは、インターネットを通して提供されているクラウドサービスの総称です。「X as a Service」の頭文字をとったもので、「X」にはさまざまな文字が当てはめられます。例えば、Softwareに関するサービスならSaaS、Platformに関するサービスならPaaSといった具合です。月額などの定額料金もしくは利用量に応じて料金を支払うサブスクリプション型のビジネスモデルを採用していて、ベンダーと契約することで利用開始できます。

注目される理由

XaaSが注目される理由は、大手企業だけではなく中小企業やフリーランスでも取り入れやすい点にあります。これまで主流だった物理サーバーによる運用と比べると、コストや運用面での負担を抑えやすいとして需要が急速に伸び、市場は世界規模で拡大中です。今後はITという枠を超えて広がりをみせていくことが予想されます。

XaaSの代表的な種類5選

あらかじめパッケージ化され簡単に利用開始できるものから、自社で開発から行えるものまで、XaaSのサービスは多岐にわたります。ここでは、代表的な種類を5つ紹介します。

SaaS(サース・サーズ)

SaaSは「Software as a Service」の頭文字で、「サービスとしてのソフトウェア」という意味です。チャットツールや表計算・管理ソフトなど、各社が提供するソフトウェアをインターネットを介して利用できます。XaaSの中では最も一般的なサービスで、実務で活用されている例が多いサービスです。

従来の方法では、ソフトウェアが収録されたCD-ROMなど購入してPCにインストールする必要がありましたが、SaaSなら利用契約をするだけですぐに使用できます。無料版を提供しているものもあるので、お試しで使用してみたい時にも便利です。

PaaS(パース)

PaaSは「Platform as a Service」の頭文字で、「サービスとしてのプラットフォーム」という意味です。プラットフォームとは、データーベースやWebサーバーといったソフトウェアを構築・稼動させるための土台となるもので、アプリケーション開発などに利用されます。PaaSを利用すれば、自社で開発環境を構築する必要がなくなるため業務の円滑化が図れます。

IaaS(イアース・アイアース)

IaaSは「Infrastructure as a Service」の頭文字で、「サービスとしてのインフラストラクチャー」と訳されます。システム稼動には不可欠となるサーバーやストレージ、ネットワークなどの基盤(インフラ)をインターネット経由で利用できるサービスです。

これまでは自社で物理サーバーを用意し保守管理するのが主流でしたが、IaaSを利用すればそれらの負担は不要となります。また、必要に応じてCPUやメモリ量などを変更できたり、OSを選択できたりとカスタマイズ性が高いのが特徴です。ただしその分、専門知識が必要となります。

BaaS(バース)

BaaSにはいくつかの種類があります。主なサービスが下記です。

<Backend as a Service>

モバイルアプリケーションのバックエンド機能をインターネット経由で提供するのが「Backend as a Service」です。プッシュ通信やユーザー管理機能など、アプリ開発には欠かせない機能を備えています。

<Backup as a Service>

クラウド上にバックアップ用のデータを保存できるサービスが「Backup as a Service」です。災害やサイバー攻撃など、有事の際に備えられます。

<Blockchain as a Service>

「Blockchain as a Service」は、ブロックチェーンの技術をクラウド上で活用できるサービスです。

MaaS(マース)

MaaSは「Mobility as a Service」の頭文字で、「サービスとしての移動」を意味します。自動運転やAIなどITのテクノロジーを活用した次世代の交通サービスで、IT分野以外に広がったXaaSの代表格です。近年では、カーシェアリングやバス・電車の料金決済など、テクノロジーの進展とともにさまざまなサービスに拡大しています。

XaaSを導入するメリット

利便性が高い上、導入・運用にかかるコストを抑えやすいのがXaaSの魅力です。XaaS導入のメリットを紹介します。

どこからでも利用できる

XaaSはインターネット環境がある場所なら、いつでもどこからでも利用できます。オフィスのパソコンはもちろん、自宅のパソコンや外出先からスマートフォンでアクセスすることも可能です。時間や場所の制限を受けないので、テレワークや複数拠点からの共同作業も容易になります。

導入コストを大幅に削減できる

XaaSでは必要な環境がクラウド上にあらかじめ用意されているため、導入コストを大幅に削減できるのも大きなメリットです。これまで自社で用意が必要だった物理サーバーやストレージなどは不要となり、初期費用がほとんどかからないサービスもあります。また、利用した時間やデータ量に応じた従量課金制や、使用容量に合わせた料金プランからの選択制など無駄のない料金体系で提供されているので、運用コストの削減も見込めます。

メンテナンスの手間を省ける

メンテナンスは基本的にベンダー側が対応するため、自社で対応は不要です。そのため管理や保守に追われることなく、開発などのメインの業務に集中できます。新機能の追加や脆弱性を解消したセキュリティパッチの更新など定期的なアップデートも行われ、常に最新の状態で利用できるのもポイントです。

XaaS導入時のデメリット

メリットの多いXaaSですが、セキュリティ・障害面では注意が必要です。導入するにあたり、デメリットを理解して対処できるような体制を整えましょう。

セキュリティリスクへの対応が必要

クラウド上のサービスにはサイバー攻撃のリスクがつきまといます。契約する際は、サービスを提供しているベンダーは信頼できるのか、利用規約をしっかり確認しましょう。併せて、チーム内ではデータの管理方法やインシデント対策などの整備を進める必要があります。

障害発生時は利用できない

インターネットに障害が発生した時や、XaaSサーバーがダウンした時などは、一時的にサービスの利用ができなくなる可能性があります。サービスの障害対応はベンダー側が行うため、復旧の見通しが立てづらい場合があるのが注意点です。

サービスの提供が終了する可能性がある

市場が拡大している分、競争に敗れて利用しているサービスが終了となる可能性もゼロではありません。サービスを選定する時にはベンダーの経営状況も考慮し、仮にサービス終了となった場合も業務が停止しない対策を施しておくことが大切です。

XaaSは社会やビジネスに大きな変革をもたらす

クラウド上でさまざまな処理が行えるXaaSは、導入・運用のしやすさがメリットです。近年では業種を超えさまざまなサービスが展開され、今後さらに普及していくことでしょう。導入する際はデメリットも念頭に置き、自社に合ったサービスを検討してみてください。

※記載の情報は、2023年8月時点の内容です。

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