2023年7月21日 更新

リスキリング研修はなぜ必要?よくある課題と解決策を解説

社会全体で、新しい知識やスキルを学び身につけるリスキリングが注目されている昨今、自社の社員に対してリスキリング研修を取り入れる企業が増えてきています。なぜ企業はリスキリング研修を取り入れるのか、理由や目的について理解を深めましょう。併せて、リスキリング研修を取り入れる際の課題やその解決策についても解説します。

企業がリスキリング研修を取り入れる理由

世界的にはもちろん、国内でも経済産業省が推進しているリスキリングは、DX時代に欠かせないアクションとして注目を集めています。個人だけでなく企業も自社の社員に対して、リスキリング研修を積極的に取り入れ始めました。なぜ企業がリスキリング研修を取り入れているのか、その理由や目的を紹介します。

リスキリングについておさらいしたい方はこちらの記事を参考にしてください。

リスキリングとは?DX推進により注目されている理由や導入するメリットを簡単解説

リスキリングとは、今後の業務の展望を踏まえ新しいスキルを習得することや、習得させるための取り組みのこと。…

DX人材を自社内で確保するため

企業がリスキリング研修を取り入れる理由としてまず挙げられるのは、DX(デジタルトランスフォーメーション)人材を自社内で確保するためです。DXとは、IT技術を通じて業務の効率化を図り、ビジネスモデルを変革して新たな価値を生み出すこと。社会のデジタル化に伴い、DX化を実現しようとしている企業は多いものの、ITスキルを持つ人材の確保が大きな課題となっています。

外部からITスキルを持つ人材を獲得することは可能ですが、採用にコストがかかる上に自社の業務については無知であることがほとんどです。対してリスキリングを自社で実施してDX人材を育てれば、これまで自社の社員として勤めてきた人材の能力の開発につながります。つまり、自社の社員を育成することで、スキルをすぐに業務に活かせるだけでなく、企業の持つ独自の文化を継承できるというメリットが生まれるのです。

企業として成長を続けるため

企業として成長を続けるためには、激しく変化するデジタル社会に対応していく必要があります。AIやIoTなどの技術は、特定の職種に求められるものではなく、すべての企業にとって必要なものとなりつつあります。そのため高いITスキルを持つ社員を育てなければ、競合他社に遅れを取り、同じ土俵に立つことは難しくなるでしょう。

企業の成長のためには既存のビジネスモデルの変革が必要であり、そのためにはリスキリングによって自社の社員のスキルアップが必要といえます。

社員のモチベーション維持のため

リスキリング研修によって社員のスキルアップが図れれば、モチベーションの向上につながるでしょう。企業が社員に学びの機会としてリスキリング研修を提供して、さらにキャリア形成の支援まで行うことで、社員は仕事にやりがいを感じられるようになります。仕事にやりがいを感じられる社員が増えれば、離職率の低下も期待でき、安定した人材の確保も可能です。

リスキリング研修で学ぶべきスキル

リスキリング研修で社員に何を学ばせるべきかは、企業の持つ課題や戦略によって異なります。社会のDX化を踏まえると、プログラミングや情報セキュリティについてなど、IT技術領域のスキルは欠かせないでしょう。リスキリング研修で学ぶべきスキルと取得をおすすめしたい資格については、下記の記事を参考にしてみてください。

リスキリングで学ぶべきスキルとおすすめ資格6選|DX時代に求められる人材とは

社会や産業の変化に適用するために必要なスキルを習得する、リスキリング。人材育成や業務効率化のため、リスキリングの仕組みを取り入れる企業も少なくなく、…

リスキリング研修の課題と解決策

企業がリスキリング研修に取り組む際、さまざまな課題にぶつかることがあるようです。ここでは、リスキリング研修においてよく見られる課題とその解決策を紹介します。

社員にリスキリング研修の重要性が理解されていない

効果的なリスキリング研修を行うためには、リスキリングの重要性を社員に理解してもらう必要があります。リスキリングの必要性がきちんと理解されていないと、社員も学習に本気で向き合えず、良い結果が生まれません。

この課題の解決策としては、まずリスキリング研修をスタートする前に説明会などの機会を設け、リスキリングとは何か、なぜ必要なのかを伝えることが重要です。企業の継続的な成長のために、スキルを積極的に獲得しながら業務をこなす社員が求められていることを理解してもらいましょう。

また、リスキリング研修を行う際に何を学ぶかは、社員の声を取り入れることもポイント。業務上の困りごと、改善したいことなどをヒアリングして、そこからどんなスキルが必要かを導き出して学習プログラムやコンテンツを決めると効果的に運用できます。

リスキリング研修に十分な時間を割けない

日々の業務が忙しくリスキリング研修に十分な時間を割けないことも、課題の1つ。企業が対象社員にスキル取得のためのカリキュラムを与えても、計画通りに学習が進まないことも多いようです。すぐに結果が出るものではないので、途中でモチベーションが低下してしまい続かないこともあります。

そのため、研修へのモチベーションを低下させないようにすることが大切です。リスキリングの進捗や資格の取得などに応じて、インセンティブを設けたり、評価に反映させたりすると良いでしょう。業務時間内でも学習を進められるよう、企業全体でリスキリングの重要性を理解し、社員に集中して取り組ませる環境作りも重要です。

リスキリング研修の効果が見られない

せっかくコストと時間をかけてリスキリング研修を行っても、成果があまり見られないことがあります。この場合は、リスキリング研修の実施方法を見直すことが有効です。方法やカリキュラムに無理がないか、確認してください。

スキル習得は一朝一夕でできるものではないため、継続的に取り組む必要があります。その場限りではない学習方法が必要です。リスキリング研修では、何を学んで何を習得したかという学習管理が重要。学習管理を徹底しながら、実施方法を見直してみてください。

リスキリング研修によって得られたスキルの評価が難しい

リスキリングによりスキルを習得した社員を正当に評価するのが難しいという課題もあるようです。リスキリングの効果や成果は短期間では見えにくいため、評価が難しくなります。きちんと成果を出したにもかかわらず、評価されなければ社員のモチベーションはさがってしまい、転職に気持ちが傾くことも。

スキル獲得に対する正当な評価を行う仕組みを作ったり、給与や処遇を改善したり、スキルが活かせる部署やポジションへ異動させたりすることも必要です。

リスキリング研修の方法

リスキリング研修の実施方法には、大きく分けて対面研修、外部セミナーの利用、eラーニングがあります。それぞれの特徴を知り、自社に適切な研修の実施方法を選びましょう。

対面研修

対面研修は講義形式で研修を行うスタイルの学び方です。社内の会議室などを利用します。講師と直接対面して研修を行うため、実践的な内容を伝えられるメリットがあります。ただし、研修を受ける時間や場所の制約があるのがデメリットです。

外部セミナーの利用

社員に外部のセミナーを受講させる方法もあります。自社で教材を準備しなくても、質の高いコンテンツが提供されるため、専門的でレベルの高い研修が受けられるメリットがあります。デメリットは、学習管理が難しい点です。また、費用がかかる点もデメリットと言えます。費用対効果を考えて選択をしてください。

eラーニング

オンラインで学習できる、eラーニングをリスキリング研修に活用する企業も増えています。いつでもどこでも好きな時に学べるのが、eラーニングのメリット。eラーニングの教材は専門家が作成や監修していることがほとんどであるため、質の高い研修が安価に受けられます。eラーニングのなかには、WEBテストで理解度を確認するなど、学習管理できるものも。

デメリットは、適切なコンテンツを選ばなければ効果を感じられないため、管理者または本人が受講の目標を明確にして適切な学習計画を立てる必要がある点です。

目的を明確にして無理なくリスキリング研修を取り入れよう

DX時代の今、企業が成長を続けるためにリスキリング研修は必要不可欠なものと言えます。ただしリスキリング研修の成果を出すためには、目標を明確にし、企業と社員とが共通認識を持って取り組むことが重要です。さまざまな方法やコンテンツのなかから、自社と社員に適切なリスキリング研修を選択し、導入してみてはいかがでしょうか。

※記載の情報は、2023年7月時点の内容です。

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