2022年12月15日 更新

【ノーコード・ローコード】はDX推進の鍵|メリットやツール導入のポイントを解説

ノーコード・ローコードとは、コードソースを省略しながら開発を進める手法です。特徴を理解して上手に活用すれば、企業におけるDX推進にも役立ちます。今回は、ノーコード・ローコードの概要やメリット、注目されている理由などを詳しく解説。また、実際に導入を検討している企業向けに、おすすめツールも紹介します。

ノーコード・ローコードとは?

ノーコードとは、ソースとなるプログラムコードを全く使用せずシステム開発を行う手法。ローコードは、最小限のコーディングで行う開発手法です。再利用できるオープンAPIなどを使用することで、拡張性の高い機能構造を実現できます。

ノーコード・ローコードが注目されている理由

ノーコードやローコードが注目されている理由のひとつとして、IT業界の人材不足が挙げられます。ソースコードを記述しながら開発を行う従来の業務は、プログラミングの専門的な知識や技能のある人材が十分にいなければ困難でした。しかし、ノーコード・ローコードを用いると、プログラミングのスキルがほとんどない人でも、ITに関する基本的な知識さえあれば開発を行えるため、幅広い人材を採用できます。

DXの推進を目指している企業の中には、IT人材の確保に苦慮しているところも見受けられます。そこでノーコード・ローコードを上手く利用すれば、DXをよりスムーズに浸透させられる可能性が高まるでしょう。

また、信頼のおけるクラウドサービスが浸透してきたことも、注目されている理由として挙げられます。クラウド上でのセキュリティが向上したため、ノーコード・ローコードといった手法がより受け入れられるようになりました。

ノーコード・ローコードのメリット

続いて、ノーコード・ローコードの魅力を詳しく見ていきましょう。それぞれ、主に次のようなメリットが見込まれます。

ノーコードのメリット

ノーコードは、コーディング・プログラミングのスキルが全くない人でも開発を行えるのが大きな強み。専門的スキルが必要ないとなれば、開発にかける手間も大幅に省けるでしょう。

また、複数人数を投入して開発チームを組む必要もありません。ノーコードで実現できる範囲の拡張であれば、すぐに対応可能である点も魅力です。

ローコードのメリット

ローコードは全くコードを書かないノーコードと異なり、ある程度コードを記述する手法です。そのため、ノーコードに比べて汎用性・拡張性が高く、利用目的の幅も広がります。

できる限り幅広い機能が付いたシステムを、より少ないコードで実現したい場合はローコードがマッチするでしょう。また、ローコードには他のシステムとの連携機能も搭載されているため、既存のシステムと組み合わせることも可能です。

ノーコード・ローコードのデメリット

ノーコード・ローコードは便利でメリットの多い手法ですが、弱点もあります。利用する際には、次のようなデメリットを念頭に置いておきましょう。

ノーコードのデメリット

ノーコードの弱点は、汎用性・拡張性が低いところにあります。ノーコードの範囲でできることは自由に対応できますが、ノーコードでどのようなシステムも開発できるわけではありません。目的・用途を絞って利用する必要があります。

また、ノーコードはプラットフォームのセキュリティに依存します。ノーコードのシステムとプラットフォームとの相性を考慮するといった対策はできますが、完全に社内でトラブルを防止するのは難しいでしょう。

ローコードのデメリット

ローコードのデメリットは、開発にあたりコーディング・プログラミングの知識やスキルがある程度は必要になる点です。前術した通り、ローコードはコードをある程度自社で組まなければならないため、エンジニアが必要になります。

また、汎用性・拡張性はノーコードより高いものの、すべてを自社でコーディングする場合に比べるとやはり劣ります。そして、ノーコードと同じくプラットフォームに依存する手法であるため、情報漏洩などのトラブルを未然に防止できるよう考慮することも大切です。質の高いプラットフォームを選択するなどの対策をしておく必要があるでしょう。

ノーコード・ローコードのツールを導入する際のポイント

ノーコード・ローコードを取り入れながら開発を行うためには、ツールの導入が必須です。ここでは、ノーコード・ローコードのツールを導入する際に意識したいポイントを解説します。

セキュリティ対策や保守・サポート体制の確認

ノーコード・ローコードに限らず、ツールを導入する場合はセキュリティ対策・保守・サポート体制の確認を行うことが大切です。セキュリティに関するトラブルは企業の信頼性を揺るがしかねないため、ユーザー認証やIPアドレス制限など、しっかりと対策されているツールを選びましょう。

また、システム開発時はもちろん、リリース後にスムーズに運用できるかも重要なポイント。もし何かトラブルが起こっても速やかに対応できる保守・サポート体制が整備されているかも、しっかりチェックしておきたいところです。

開発の目的・用途に合致しているか

これらの手法が自社の開発目的・用途に合致しているか、運用時に不都合な部分はないかなどを、しっかりと確認しておく必要があります。ノーコード・ローコードでは作成できるシステムに制限があるので、場合によっては他の手法も視野に入れる必要があるでしょう。

外国語に対応する人材・方法があるか

ノーコード・ローコードのツールには海外製が多く、それらの公式サイトが日本語対応かはまちまちであるため、外国語に対応できる人材・方法を確保しておきたいところです。

外国語に対応できる方法として翻訳ツールなどが挙げられますが、翻訳ツールのみに頼るのは注意が必要。おおよその翻訳はできますが、細かいニュアンスを汲み取れなかったり、翻訳しきれない部分が発生したりする可能性があります。翻訳ツールなどを活用しつつ、いざというときに頼れる英語が得意な人材を用意しておくと安心でしょう。

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ノーコード・ローコードのおすすめツール

最後に、機能性が高く操作もわかりやすいノーコード・ローコードのツールを3つ紹介します。導入を検討している場合は、ぜひ参考にしてみてください。

Power Apps

Microsoft社が提供するローコード開発ツール「Power Apps」。このツールは同社の他の製品と同じ感覚で操作できるため、Microsoftをよく利用する日本の企業にとっては比較的扱いやすいでしょう。また、操作自体も簡単でテンプレートの種類も充実しています。

ASTERIA Warp

「ASTERIA Warp」は、国内トップシェアを誇るノーコードツールです。ドラッグ&ドロップやプロパティ設定など、簡単な操作で他のシステム・ファイルなどと連携が組めます。複雑なスキルは必要なく、幅広い人が利用できると好評です。

Kintone

「Kintone」は、サイボウズ株式会社が提供するローコードツールです。業務用アプリの制作が可能で、100種類以上のサンプルアプリが用意されています。サンプルをカスタムするなどで、簡単に自社アプリを作成できるのが魅力。またこのツールには、書類のデータ管理機能といった便利な機能も付加されています。業務効率化を図りたい企業にもおすすめです。

ノーコード・ローコードの活用でDX推進や開発効率化を進めよう

ノーコード・ローコードは、最小限の作業でシステムを開発できる手法です。そのため、各企業が悩むDX推進の鍵にもなり得ます。メリットやデメリットを十分理解し、的確な目的で利用すれば、手間やコストを大幅に削減できるでしょう。ぜひノーコード・ローコードに関する知識を深め、導入を検討してみてください。

※記載の情報は、2022年11月時点の内容です。

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