2022年6月27日 更新

アサーションとは?身につけるメリットやトレーニング方法を解説

アサーションとは、相手の考えや意見を大切にしつつ自己主張もしっかりと行う、絶妙なコミュニケーション方法のこと。ビジネスシーンでのコミュニケーションにおいて重要である、「伝える力」と「聞く力」のバランスを上手にとることでアサーションが成功します。本記事では、アサーションを身につけるメリットやトレーニング方法を紹介します。

DESC法は、4段階の自己主張のこと。以下の順に主張することによりアサーティブが実践できます。

アサーションとは?

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まずはアサーションの概念を確認しておきましょう。ここではアサーションの意味や歴史を紹介します。

アサーションの意味

アサーションの語源は、英語で自己主張を意味する「assertion」。相手の意見を尊重しつつ、自分の意見も主張するコミュニケーション方法を指します。

アサーションの歴史

アサーションは1950年頃、精神医学・行動医学において用いられたのが始まりとされています。当時、アサーションは自己主張を意味する言葉で、現在のようにバランスの良いコミュニケーション方法を指す言葉として使われていませんでした。

アサーションが相手を傷つけずに自己主張を行うコミュニケーションの定義として使われ始めたのは1970年代前後。アメリカで人種差別撤廃や婦人解放の運動が活発化する中で徐々に浸透していきました。日本では1980年代から使われるようになったと言われています。

アサーションを身につけるメリット

アサーションを活用することで、仕事や日常においてさまざまなプラスがあります。ここでは、アサーションを身につけるメリットを紹介します。

しっかり自分を主張できる

アサーションが身につくと、相手の話や意見に耳を傾け理解した上で、自分の意見を上手に主張できるようになります。

会話の中で自分の考えていることを十分に主張できずモヤモヤし、ストレスを抱えてしまう人は少なくありません。しかしアサーションを活用すれば伝えることを我慢しなくて良いので、ストレスを溜めずに相手とやり取りができます。

ビジネスの場では自分の考えや意見を主張をしないと不利益を被るケースがあるため、しっかりと主張することは大変重要です。

コミュニケーションが円滑になる

自分の主張が十分にできない状態は避けたいものですが、自分の考えばかりを相手に押し付けている状態も問題です。アサーションが身につけば自分か相手かの一方に偏ったり、一方のみが不満を持ったりといった状態を回避できるため、円滑なコミュニケーションが可能になります。

ハラスメント防止につながる

近年問題となっているさまざまなハラスメントも、アサーションを身に着けることによって防止できます。例えば社会的な地位や立場を利用した嫌がらせであるパワーハラスメントなど。

パワーハラスメントなどの問題は、地位・立場が異なる人同士が対等なコミュニケーションを取らないことが原因になり得ます。アサーションでお互いを尊重するようなやり取りが実現すれば、コミュニケーションの行き違いによるハラスメント問題を防げるでしょう。

自己主張の3つのタイプ

自己主張は主に3つのタイプに分類されます。アサーションを身につけるためには、各タイプについて理解を深めることが重要です。ここでは自己主張のそれぞれのタイプの特徴を解説します。

アグレッシブ

アグレッシブは「攻撃タイプ」とも言われます。とにかく自分の主張を通すことを優先的に考え、積極的に自己主張を行うタイプです。大声を張り上げたり威圧的な態度をとったりなど、自分の主張を通すために相手に攻撃的なアプローチをすることも。常に相手より優位に立とうとするのが特徴です。

ノン・アサーティブ

ノン・アサーティブは「非主張タイプ」とも言われます。自己主張を苦手とするため、何を聞かれても曖昧に濁しがちです。また、自分の感情をあまり表に出さないため、物静かなイメージを持たれることが多いでしょう。

アサーティブ

アサーティブはアグレッシブとノン・アサーティブのいいとこどりタイプ。自分の意見は主張しつつ、相手の意見も聞いて折り合いをつけられます。場の空気を読みながらそのシーンにおいて適切な表現ができるため、コミュニケーションの中で衝突することが少ないでしょう。アサーションは、このアサーティブタイプの自己主張を行うことを指します。

アサーションレベルのセルフチェック

以下の項目を参考に、現在の自分のアサーションレベルをセルフチェックしてみましょう。

【A】

  1. 自分が正しいと思うことは主張を通そうとする。

  2. 他人の間違いを見つけたら迷わず指摘する。

  3. 物事が思い通りに進まないと感情的になりがちだ。

  4. 自分の弱みを周囲に知られるのは嫌だ。

  5. 物事を人に任せることに抵抗がある。

  6. 強がりな性格だ。

  7. 人に何かを頼むと、自分に能力が無いように感じて落ち込む。


【B】

  1. 相手と異なる意見を持っていても言い出せない。

  2. 指摘を受けたときに黙ってしまう。

  3. 人から指示をされて動くことが多い。

  4. 目上の人と話すときに委縮してしまいがちだ。

  5. 自分よりも相手を優先する場面が多い。

  6. 相手の言動が理不尽に感じても伝えられない。

  7. 自分に自信を持てない。

【A】に当てはまる項目が多ければアグレッシブタイプ、【B】に多ければノン・アサーティブタイプの傾向があります。【A】【B】に当てはまる項目がない、もしくは少ない場合はアサーティブタイプの傾向があり、アサーションレベルが高いと言えるでしょう。

アサーションのトレーニング方法

現在のアサーションレベルが低くても、トレーニングによって徐々に身につけることが可能です。ここではアサーションのトレーニング方法をピックアップして紹介します。

「私」を主語にして意見を伝える

意見を述べる際は、「あなた」ではなく「私」を主語にするよう意識してみてください。「あなた」を主語にすると相手は責められたように感じる可能性があります。しかし、主語を「私」にすれば相手を傷つけずに自分の意見を伝えやすくなります。

例えば相手の作業スピードについて言及する際は、「あなたはいつも作業が遅いですね。」ではなく、「私はあなたが早めに作業してくれると助かります。」に言い換えるなど工夫してみましょう。

否定的な言葉や断定表現を使わない

日常的に否定的な言葉を使っているのなら、肯定的な言葉に言い換える練習をしてみましょう。前向きな言葉は相手に届きやすくなるため、習慣化することをおすすめします。

どうしても否定しなければならない場合は、否定の最後にポジティブな提案を付け加えると相手に受け入れてもらいやすくなるでしょう。

また、「~しなさい」「~すべきだ」のような命令・断定表現も避けたいところです。「~してください」などお願いする表現を使えば、相手を傷つけずに伝えられるでしょう。

DESC法を取り入れる


  1. Discribe(描写):客観的に事実を伝える。

  2. Explanation(説明):自分の意見や感情を伝える。

  3. Suggest(提案):解決策を提案する。

  4. Choose(選択):提案を行った結果を伝える。

加えて、言語だけではなく相手の表情・態度といった非言語的な部分もコミュニケーションにおいて重要です。相手に不安を感じさせない非言語コミュニケーションを意識することで、関係が良好になるでしょう。

アサーションを身につけてコミュニケーションスキルを高めよう

アサーションは、ビジネスシーンなど円滑なコミュニケーションが必要な場面において重要なスキルです。身につけることで自己主張のストレスを緩和できます。また相手と対等に、かつ相手を尊重しながらコミュニケーションを図れるため、業務をよりスムーズに進められるでしょう。ぜひアサーションのトレーニングを積み重ね、コミュニケーションスキルの向上を目指してください。

※記載の情報は、2022年6月時点の内容です。

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