2022年5月23日 更新

【VUCA(ブーカ)】とは?VUCA時代に適応するための術を解説

VUCA(ブーカ)とは、先行きが不透明で予測困難な状況を指す言葉で、今の社会を表すものとして注目されています。VUCA時代に適応するためには、時代に求められる人材を目指すことが重要です。本記事では、VUCAの概要や適応するためにすべきこと、時代に合った人材育成方法などを解説します。

VUCAの意味

まずはVUCAに関する基本的な情報から見ていきましょう。VUCAの具体的な意味や、VUCAという言葉がビジネスシーンで用いられるようになった背景を紹介します。

VUCAはカオス化した経済環境を表す言葉

VUCAとは、「volatility(変動性)」「uncertainty(不確実性)」「complexity(複雑性)」「ambiguity(曖昧性)」のそれぞれの頭文字を取った造語です。これら4つの要因によりカオス化した、予測不能な現在の経済環境を表します。

VUCAという言葉が生まれた背景

VUCAという言葉はもともと、1990年代にアメリカの軍事領域などで使用されていたものです。

その後、世界の市場でVUCAが使われ始めたのは2010年代のこと。企業を取り巻く環境は2000年代に入ってから20年で大きく変化し、経済のグローバル化やIT化など、目まぐるしい産業の変化が起こり始めました。この流れを受け、変化の激しい世界情勢を表すワードとしてVUCAが使われるようになりました。

2020年代に入ってからも、新型コロナウイルス流行によりそれまでの常識が通用しなくなるなど、先行不透明なVUCA時代は続いています。

VUCA時代に求められる人材

VUCA時代と言われる現代では、求められる人材がこれまでとは少し変わってきています。次に、VUCA時代に求められる人材について解説します。

状況に応じて臨機応変に行動できる人

VUCA時代は流動的であり、それまでの慣習が通用しないことがあります。そのため、従来の考え方や慣例に固執していては、時代の流れや変化に取り残される可能性があります。現状に合わせて柔軟に行動すべきシーンで対応力を発揮できる人が、企業から求められる人材と言えるでしょう。

多様性を受け入れられる人

VUCA時代においては、さまざまな変化を意識して多様な人材を雇用する企業が多いものです。そのような企業にとって、個の特性を理解し受け入れられる人材は重要。多様性を受け入れられることも、VUCA時代に求められる人材の特徴と言えます。また、多様な人材と摩擦を起こすことなくスムーズにやり取りできるコミュニケーションスキルも求められます。

物事の本質を見極め的確に解決へと導ける人

物事に明確な答えがなく判断が難しい状況下でも、翻弄されずに物事の本質を見極めて課題解決へと導ける人も企業にとって必要な人材です。例えば、過去の事例がない、または参考にならない出来事があっても、集めた情報を元にその都度仮説を立てて判断していけるような人物が挙げられます。

VUCA時代に適応するためにすべきこと【個人】

VUCA時代を理解し、個々で対策を講じることも重要です。ここでは、VUCA時代に適応するために個人がすべきことを見ていきましょう。

新しいリーダーシップを理解する

これまでは強力な統率力を持ったリーダーが多く見られました。しかし、VUCA時代にはこれまでのリーダーシップが通用しない場合があります。VUCA時代に求められるリーダーは、状況に応じて動きながら的確な判断が下せる柔軟性を備えた人物です。この新たなリーダー像を理解し、リーダーシップをとるために必要なスキルを考え、習得を目指すことが重要と言えます。

意思決定力/決断力を習得する

VUCA時代は変化が激しく、判断に時間をかけていられません。速やかな意思決定が必要であるため、決断力は習得しておきたいところです。

また、リーダーシップとも関連しますが、VUCA時代では状況により自分の権限を他者へ移譲する必要が出てきます。自分が行うことに固執せず、誰にどのようなことを移譲すれば効率的かを考えて、速やかかつ的確に決断できる力を身につけておきましょう。

コミュニケーションスキルを向上させる

VUCA時代は、多様な価値観が混ざり合っています。だからこそ、他者と綿密にコミュニケーションを取り、考え方のすり合わせや共有を行う必要があります。スムーズなコミュニケーションで他者との摩擦や食い違いを回避しながら業務を進められるよう、個々の能力を高めましょう。

VUCA時代に適応するためにすべきこと【企業】

VUCA時代においては、企業のあり方を見つめ直し、企業全体で取り組まなければならないこともあります。ここでは、VUCA時代に適応するために企業全体ですべきことを解説します。

企業が目指すビジョンを明確化する

VUCA時代は先行きが不透明になりやすく、企業の方針が曖昧になってしまうことが少なくありません。企業の方針が見えづらいと、社員それぞれが指針を持ち、モチベーションを保つことが難しくなります。そこで重要なのが、企業が目指すビジョンの明確化です。成果目標などを可視化し、企業と従業員がビジョンを共有できるよう努める必要があります。

新しいことへ積極的にチャレンジする

変革を恐れず、新しいことへ積極的にチャレンジする姿勢も企業に必要なものです。VUCA時代はいつどのような変化が訪れるかわかりません。慣例に固執していては、時代に取り残されてしまう可能性があります。しかし積極的にチャレンジしていけば、現代の消費者のニーズを的確に捉え、売上の向上などにつなげることができるでしょう。

VUCA時代に適応できる人材を育成する

VUCA時代に適応できる人材の育成も、企業がすべきことのひとつです。VUCA時代に強い人材が多くなれば、どのような変革にも対応していける強い企業づくりが叶います。

VUCA時代に合った人材育成方法

先述したように、VUCA時代に適応できる人材の育成は企業の成長にもつながります。最後に、VUCA時代に合った人材の育成方法を見ていきましょう。

業務に「OODAループ」を活用し迅速な意思判断力を身につける

OODAとは、「Observe(観察)」、「Orient(状況判断)」、「Decide(意思決定)」、「Act(実行)」の頭文字を取った言葉。「OODAループ」は、これらのステップを通して意思決定を行うフレームワークです。

「OODAループ」を業務内で活用することにより、状況に合わせて筋道を立てた意思決定や迅速な判断がしやすくなります。このスキルを鍛えることで、VUCA時代に必要な決断力や問題解決力を育めるでしょう。

VUCA時代に必要なスキルを習得するための社員研修を実施する

VUCA時代に必要なスキルの習得を目指し、社員研修を行うのもひとつの方法です。VUCA時代の必須スキルである、問題解決能力やコミュニケーションスキルに関する内容を盛り込んだリーダー研修などを実施してみましょう。

VUCAへの理解を深め、時代に適応できる人材を育成しよう

混沌とし先行きが不透明なVUCA時代に生き残るためには、VUCAへの知識・理解を深め、状況に応じてすべき行動を起こすことが大切です。個人でできることから取り組みつつ、企業全体でもVUCA時代に対応できる体制を整えていきましょう。この記事を参考に、VUCA時代における自身や企業のこれからの取り組み方を考えてみてください。

※記載の情報は、2022年5月時点の内容です。

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