2022年11月1日 更新

データサイエンティストとは?仕事内容や必要なスキル、資格について解説

データサイエンティストは、データを収集・分析し、その結果をもとに企業の課題解決に向けて提案を行う職種。ビッグデータ活用の拡大やAI関連の人材不足から、将来性が高い職種として注目されています。本記事では、データサイエンティストの概要や主な仕事内容、必要な知識とスキルについて解説。キャリアアップにおすすめの資格も紹介します。

データサイエンティストとは

データサイエンティストは、データ収集や分析だけではなく、ビジネスにおける課題解決に必要な提案までを担う職種です。データサイエンティストの定義や役割、将来性、データアナリストとの違いなどについてわかりやすく解説します。

データサイエンティストの定義と役割

データサイエンティストとは、情報科学理論を用いてデータの収集や分析を行い、ビジネス課題における有益な答えを出す人材のこと。企業の課題に関するビッグデータを分析し、ビジネス状況の改善を提案するのが主な役割です。

統計の知識や解析、ITのスキルだけではなく、対象となるビジネスのバックグラウンドや市場トレンドも理解しておく必要があるため、幅広い知識が求められます。

データサイエンティストの誕生背景と将来性

2010年以降、インターネット上で扱われるデータ量が急激に増加。ビッグデータの活用価値の高まりから、ビジネス課題に直結する提案を求められるようになり、データサイエンティストという職業が誕生しました。

ビッグデータは今後も増加すると考えられる中、日本のIT業界は人材不足が続いていることから、データサイエンティストへの需要は高く、将来性のある職業と言えます。

データアナリストとの違い

共通する業務内容もあり、厳密な線引きはありませんが、データアナリストはデータの収集と分析を専門とするのが一般的。

一方、データサイエンティストは、データの収集と分析に加えて、仮説構成、アルゴリズムや予測モデルの実装、企業が抱える課題を解決するための提案まで行うため、幅広い業務内容を担うという点で違いがあります。

データサイエンティストの主な仕事内容

データサイエンティストの仕事は、課題の洗い出しから、データ収集・分析・企業への提案まで多岐にわたります。ここでは、データサイエンティストの主な仕事内容を紹介します。

課題抽出と戦略立案

まずは、企業の課題を抽出し優先順位をつけ、課題設定と目標達成を明確化します。これらをクリアするために、どのようなデータが必要なのか検討し仮設立案を行います。

データ取得環境の構築と収集

システムからデータを収集します。分析するデータを取得するために、環境構築が必要な場合も。例えば、業務システムからAPIを通して得たデータを収集するプログラムの作成、HadoopやMySQLなどを用いたデータベースの構築などが挙げられるでしょう。

データの加工や分析

あらゆるデータを収集し、分析可能なレベルまで加工します。収集したデータには、分析に必要ではないデータや情報も含まれていることがあります。不要なデータを削除したり、空欄部分を統一した数字などで埋めたりすると、分析の精度が向上するでしょう。

また、機械学習やディープラーニングなどのツールを用いてデータ分析を行い、統計的に有効なデータを見つけ出します。

データの可視化とパターンの発見

データが見やすいようグラフにするなどして可視化します。データに潜むパターンを発見し、課題解決に寄与する傾向を特定します。

レポート作成と提案

データや分析結果から、ビジネスにどう活かせるのかを検討しレポートを作成することも重要です。データサイエンティストには、単に結果を伝えるだけではなく、課題解決の施策を提案するスキルも必要です。

データサイエンティストに必要な知識やスキル

データサイエンティストが身に付けておくべきことは、ITの知識だけではありません。ビジネスにおける知識やスキルも求められます。データサイエンティストに不可欠な知識やスキルについて紹介します。

データ収集・加工のスキル

データ分析にはデータを収集・加工するスキルが、データ収集にはセンサーの特徴やデータ転送に関するネットワークの知識などが必要です。データ加工処理を行い、BIツールなどでグラフや図形を作成し、データを可視化するスキルも重視されます。

環境構築・プログラミング・セキュリティのスキル

データ収集や解析を行う環境構築やプログラミング、ITセキュリティに関する知識も得ておきたいところ。データ分析の環境構築には、オンプレ、クラウド、データベース、GPU、Dockerについての知識が必要です。機械学習やディープラーニングを行う際は、 Rプログラミング言語やPythonなどのコーディング言語が良く使われます。

データベース内のデータ操作にはSQL言語も必要になります。ネットワークにつながるデータの取り扱いにあたり、ITセキュリティの知識があることも重要です。

統計学・数学・情報処理の知識

収集した大量のデータを分析するには、統計学や数学、情報処理に関する知識を得ておくことも大切です。統計分析の結果をビジネスに応用するスキルも、課題解決の提案をする際に求められます。また時系列分析、機械学習といった分析手法を知っておくと、課題解決の検討に役立ちます。

ビジネス課題解決のスキル

課題背景を理解し、ビジネス課題を整理・解決に導くスキルも必須。論理的思考や課題設定、分析評価ができる能力を持つ人は、データサイエンティストに向いているでしょう。

AI開発を行う場合に必要な法令・契約・権利保護に関する知識や、プロジェクト・リソース・リスクのマネジメント力といった、幅広いビジネス知識とスキルを身に付けておくことも大切です。    

データサイエンティストを目指すなら取得しておきたい資格

データサイエンティストになるには、専門性の高いスキルと知識が必要です。そのため、関連する資格を持っておくとキャリアアップや転職活動の際に役に立つでしょう。続いて、データサイエンティストを目指す人におすすめの資格を紹介します。

統計検定

「統計検定」は、一般財団法人 統計質保証推進協会が主催する統計に関する統一模試です。統計学の知識が必要なデータサイエンティストを目指すなら取得しておきたい資格。準1級~4級の5段階のレベルと、統計調査士、専門統計調査士の2つの資格で構成されています。  

基本情報技術者試験

「基本情報技術者試験」は、情報処理推進機構(以下IPA)主催の国家資格。プログラミングや情報処理の基本的な知識とスキルを保有していることが証明できます。システムの設計や開発、戦略立案といったITに関する問題が広範囲で出題されます。

応用情報技術者試験

IPAが運営する基本情報技術者試験のさらに上の国家試験。ITに関する応用的知識・スキルだけではなく、マネジメントや経営戦略まで、幅広い知識と応用力が問われます。高いスキルの証明となるので、就職や転職でも役立ちます。

データベーススペシャリスト試験

情報システムの要件定義から、開発、運用の役割を担い、技術支援を行う人を対象にしたIPA主催の国家資格。データベース管理者やインフラ系エンジニアを目指しながら、データサイエンティストとしてさらにキャリアアップしたい人におすすめです。

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データサイエンティストとしてキャリアアップを目指そう

データサイエンティストには、ITからビジネスまで幅広い知識と高いスキルが求められます。独学で知識やスキルを習得するには時間を要するため、スクールなどを利用するのも方法のひとつです。セゾン情報システムズでも、オリジナル研修プログラム「BootCamp」を開催しており、過去にはデータサイエンティストを目指す人向けの研修も実施しました。

スキルや技術の証明になる資格の取得を検討しつつ、データサイエンティストとしてのキャリアアップを目指してみてください。

※記載の情報は、2022年10月時点の内容です。

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